韓国で「鬼滅の刃」公開 「反日不買はからかわれて当然」「意味も理由もないNO JAPAN」と一刀両断に

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耳飾りは変更

 韓国内では「鬼滅の刃」の魅力として、仲間との絆を構築していく過程、他を受け入れる心、悪役も単なる意地悪ではなく各自の事情が背景にありそれがまた魅力的であること、主人公・炭治郎とその仲間たちが強敵を相手に頑張る姿がコロナ禍を克服するために頑張っている現況と重なること、などが挙げられてきた。

 その一方で、反日感情からくる韓国内の「鬼滅の刃」論争の論点は大きく3つ挙げられる。

(1)主人公・炭治郎の耳飾りのデザインが「旭日旗」を連想させること。

(2)作品は大正時代を背景に描かれているが、この時代はまさに日本が韓国を植民地支配していた時期と重なること。

(3)出演している声優や制作者側の一部の人が、過去に右翼的な発言をしていたこと。

 今回、韓国での公開にあたり、炭治郎の耳飾りのデザインは丸に線が2、3個入っただけのものに変更された。(過去のテレビ放映では耳飾りにモザイクが施されていた)

 一部、反日支持派のネットユーザーの中には、原作では依然として耳飾りのデザインに旭日旗が使われており、全ての作品での修正を要求する声もあった。

 今回の公開に関しては、同じファンでも、ソウルと地方とで差があったことは印象的だった。

 ファン達が集う「カフェ」と呼ばれる情報掲示板では、ソウルの場合は公開初日に合わせて劇場に足を運んだり既にチケット予約をしたりしているのだが、地方になると、「今この時局に行くのは躊躇われるがいつか必ず見る」というコメントが少なくなかった。

 とはいえ、地方のファンでも公開初日に見たい者たちはバスに揺られてシネコンを目指した。その光景はニュースでも報じられていた。

「NO JAPANはどうなった?」

 さらに都市部のファンからは、反日に関して否定的な反応が続いた。

「不買運動はからかわれて当然」「不買によって自国民と日本人、どちらがより多く犠牲になったのか」「国を相手に不買運動する国がどこにあるんだ」「反日は質の悪いメンタリティ」「意味も理由もなかった NO JAPAN」「反省しないというなら日本より中国の方がひどいのに、中国相手にはおとなしくしていた人たちが日本相手にデモをする」

 先に触れた「鬼滅の刃」の初日観客数が1位だったことはネットニュースで報じられたが、日本のファンからは、「(韓国政府が主導する)NO JAPANはどうなった?」「反日なんだから公開を中止したら良いのでは?」と揶揄する声があがったことも同時にニュースで流されていた。

 自分自身の都合に合わせ、反日か親日かを選ぶ態度の不実はかねて指摘されてきたが、それにしても鮮やかに反日不買運動が一刀両断されたのも事実だろう。

北条時子
1976年生まれのライター。韓国人の夫と共に渡韓し、ソウル在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2021年2月1日掲載

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