コーチ補佐就任の「桑田真澄」 卓越した技術指導力で監督の座を狙っている?

スポーツ 野球 週刊新潮 2021年1月28日号掲載

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 悪名は無名に勝る――という言葉がある。球界では2011年、巨人のGMが突如解任された“清武の乱”で、ナベツネこと渡邉恒雄会長(当時)が、コーチに招こうとした江川卓氏を評した発言として知られる。

 はたしてこの人はどうか。

 桑田真澄氏(52)が巨人の投手チーフコーチ補佐に就任した。原監督の強い要望があったとされる。

 15年ぶりに巨人のユニフォームに袖を通すわけだが、

「桑田さんは、たえずプロ球界復帰を熱望していた。巨人にかかわらず、ね」

 とベテラン記者が語る。

「メジャーを除くと、国内では巨人でしかプレーしていないわけですから、巨人のコーチになるのが順当。でもそれを長らくナベツネさんが許さなかった」

 では他球団で――という話も過去にはあった。

「桑田さんを高く評価していたノムさん(故・野村克也氏)が楽天に招こうとしたけど、フロントが拒否。DeNAが球団買収した際には新監督候補にリストアップされるも、情報が流出してオジャンに。中日でも落合監督の後任として売り込みがあったもののナベツネさんに潰された。今はナベツネさんの影響力が弱まり、ようやく“桑田コーチ”が実現したわけ」(同)

 引退後の桑田氏は、早大大学院でスポーツ科学を学んだり、東大野球部のコーチを務めたりしたが、プロの指導は初めて。しかし、

「彼なら、今すぐにでも一流のコーチングができるでしょう」

 とスポーツアドミニストレイターの河田弘道氏が太鼓判を押す。1994年から4年間、第2次長嶋政権で参謀役を務めた河田氏は、桑田氏が“10・8決戦”で胴上げ投手となった絶頂期から、肘の手術に至るどん底期まで知悉している。

「巨人に当時、市川繁之さんという凄腕の理学療法士がいましてね。彼と松井(秀喜)選手は市川さんの元でスポーツ医科学を学んだ優等生。ストイックなほど繊細な理論と実践の持ち主である彼は、投手の技術指導では当代一といっても過言ではありません」(同)

 巷では、“桑田入閣”を“ポスト原に名乗り”と捉え、“(ポスト原が有力視される)阿部慎之助2軍監督に対する当て馬”とする言説が見受けられる。だが、河田氏の考えはやや異なる。

「彼には技術指導力に加え、知力、そして度胸がある。肩書は“コーチ補佐”だそうですが、それに収まるタマじゃない。誰かが手綱を締めていないと……」(同)

 なるほど、チームメイトを出し抜く形でプロ入りし、現役中は“投げる不動産王”と揶揄された、とかくお騒がせな人ではある。

「原監督も、彼の恐ろしさをよく知っているはずですが……。当て馬なんてとんでもない。心しておかないと、“軒を貸して母屋を取られる”なんてことになりかねませんよ」(同)

 処方によって毒にも薬にもなる男、なのである。