「ジャニーズJr.」22歳活動終了制度導入に見える、「可愛い子には旅をさせよ」の愛

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ジャニーズアイドルの王道とは

 ジャニーズ事務所は16日、ジャニーズJr.に22歳での活動終了制度を導入することを発表した。これは、「ジャニーズアイドルとは何か」を再考させられる大決定である。嵐のグループとしての活動休止や、大学生活との両立が難しいタレントの活動休止を認めるなど、ジャニーズ事務所の働き方改革が散見されてきたが、新たな改革は人事だ。その影響や背景にあるものについて、『ジャニーズは努力が9割』の著者、霜田明寛氏が考察する。

 改めて「ジャニーズアイドルとは何だろうか」と考えさせられた。

 今回の決定は、一瞬、最近のジャニーズ事務所が提示してきたものと逆行するようにも見えるから尚更である。

 ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川の死後、初めてジャニーズJr.からデビューグループが送り出されたのは2020年1月。SixTONESとSnow Manの2組同時デビューだ。

 Snow Manの深澤辰哉は27歳で、ジャニーズ史上最年長でのデビュー記録を更新。

 この2組のグループのメンバー全15人のうち14人が20代。Snow Manは9人中7人が20代後半、SixTONESの6人も20代中盤が主だ。

 長いと16年、10年以上ジャニーズJr.でいたメンバーも多く、2組のデビューはファンにも他のジュニアにも少なからず「長く頑張っていれば報われることもある」という印象を与えたはずだ。

 一方、この2組と同世代にあたるSexy Zoneは、2組より9年も早い2011年に平均年齢14.4歳でデビューしている。

 例えば嵐は当時16歳3人、17歳1人、18歳1人の5人で結成されたグループだし、SMAPもKinKi Kidsも全員がジャニーズJr.時代を経て、10代のうちにデビューをしている。

 他にも各グループのデビュー時の年齢を平均すると、嵐:17.2歳/1999年、NEWS:17.2歳/2003年、Hey! Say! JUMP:15.6歳/2007年(※平均年齢/デビュー年で表記)となり、この年代でのデビューこそが、ジャニーズアイドルの王道だったはずである。

最年長デビュー記録の更新が続いた

 90年代の半ば、TOKIOの城島茂は23歳、V6の坂本昌行は24歳でデビューし当時最年長デビュー記録を更新しているが、それはあくまで特殊例。

 思えば当時20代だったにも関わらず、番組内でオジサン扱いをされているようなこともあった。

 それから25年、2010年代以降、徐々に20代のジャニーズJr.は普通になり、坂本の記録はKis-My-Ft2、A.B.C-Zといった後輩たちによって徐々に更新されていった。

「13、14、15、16! その響きが好きだから!」

 ジャニー喜多川作・演出の舞台ジャニーズワールドシリーズではこのようなセリフが挿入されるが、このセリフが象徴するように“ガラスの十代”の輝きを放ちながら世に出ていくのがもともとのジャニーズアイドルだった。

 また、10代のうちに選ばれ、デビューしたほうが“選ばれし者”である雰囲気は醸成されやすい。

 ジャニーズJr.時代をもちろん経るものの、V6の岡田准一のように、その期間が短いほうが“エリート”と呼ばれがちだった。

 だが、最近の世の中の傾向は敢えて言葉にするならば、長い時間研鑽を続けてきたものをありがたがるもので、そこに合わせて徐々にジャニーズアイドルの形も変化を遂げてきていた。

『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)という拙著のタイトルもその傾向を踏まえてつけたものでもある。

 今回の決定は「基本に改めて立ち返る」ためのものでもあるという。

 アイドルにとって大事なもの。

 それは、生まれながらの輝きなのか、それとも研磨を続けたことによって放つ光なのか。

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