「文在寅」の失策が生んだ「結婚を諦める若者たち」と「九放世代」という言葉

国際 韓国・北朝鮮 2021年1月13日掲載

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若者たちによる「非婚」の選択

 その話をする前に韓国の住宅事情を説明しておくと、家賃制度には「チョンセ」と「ウォルセ」の2種類がある。

 チョンセは韓国独特の制度で、何千万円という保証金を入居時に一括で預ける代わりに月々の家賃負担はなく、保証金は退去時に返還される。

 家主は、その資金を投資に回すなどしてさらに利潤を追求することが可能だ。

 一方のウォルセは日本の賃貸制度と似ており、入居時に保証金を預け、家賃は毎月払うものの、保証金の額が多いほど家賃は安くなる。

 いずれにせよ、チョンセは数千万円、ウォルセは数十万円から数百万円という多額の保証金を入居時に預けなければならない。

 保証金は特に若い世代にとって大きな負担である。
 
 銀行による購入住宅担保融資は時価の40%までだが、賃貸だと保証金融資は80%までとなっている。

 既婚、未婚の差はないが、所得ごとに利子率や融資枠が異なる。

 更に夫婦が購入住宅融資を申請する場合、子無しは約570万円以上、2人以上の子供がいる家庭は約660万円以上の夫婦年収が求められる。

 しかし、これをクリアできる若い夫婦はそうはいない。

 そのために国は、結婚5年以内の夫婦に公共分譲特別供給という制度を設けている。

 日本の公団と同じように、結婚年数や子供の人数など様々な項目を審査されるのだが、これもまた基準が厳しすぎて、5年以内の夫婦にはハードルが高い。

 籍を入れなければ2世帯として認められるから、若い世代は結局、事実婚を選択するようになった。

 それぞれが保証金を借り入れることができて生活に余裕ができるし、子供ができた後や夫婦間所得が約570万円を超えてから婚姻届を出せばいいというわけだ。

 文在寅政権の少子化対策や女性支援、不動産対策、雇用対策は、国民を助けるどころか、20代の結婚観の変化に拍車をかけたことは間違いない。

 結婚したくてもできない。結婚しなくても一緒に住めばいい。結婚しなくても子供は持てる。

 若者の非婚率を高め、ひいては国民を疲弊させている。
 
 日本以上の少子化が進む韓国で、切実な若者の声を文政権が受け止められる余地は、ほとんどないのかもしれない。

北条時こ(ほうじょう・ときこ)
1976年生まれのライター。韓国人の夫と共に渡韓し、ソウル在住

週刊新潮WEB取材班編集

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