女性宮家に代わって浮上した「皇女」案をどう捉えるべきなのか

国内 社会 2021年1月2日掲載

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女性宮家に代わり愛子内親王などを対象にした皇女(こうじょ)案は唐突ではなかった

 秋篠宮さまの立皇嗣の礼が終わり、眞子さまに続いて秋篠宮さまの記者会見でのご発言が話題となる中、政府による「皇女」案の検討が現実味を帯びてきた。女性宮家に代わって愛子さまなど内親王を対象とするものだが、それはいかなるもので、どう捉えるべきかをじっくり考えてみたい。

 昨年11月24日以降、マスコミ各社は政府が皇女案の検討に入ったとするニュースを一斉に報じた。例えば共同通信は、次のような内容を配信した。

〈政府が皇族数減少に伴う皇室活動の担い手確保策として、女性皇族が結婚した後に「皇女」の尊称を贈り、公務への協力を委嘱する新制度の創設を検討していることが分かった。皇籍を離れた後も活動に関わってもらい、皇室の負担軽減を目指す。結婚後も皇族の身分を保持する「女性宮家」の創設は、女系天皇の容認につながる可能性があるとして見送る方向だ。政府関係者が23日、明らかにした〉

 これについて、官邸はまだそうした報道内容を追認してはいない。しかし、女性宮家の創設を主張してきた勢力から、さっそく様々な反応があった。この中には「唐突すぎる」「天皇退位特例法の付帯決議を無視するものだ」などという焦りにも似た批判があった。だが、そのいずれもが、明らかな認識不足と言わざるを得ない。既に平成24(2012)年に検討課題とされていたものであり、国会の付帯決議を無視するものでもない。

8年前の野田内閣の論点整理で「公的行為の支援のための新たな称号」に言及

 その理由を述べよう。平成24(2012)年10月、当時の野田佳彦内閣(民主党・国民新党)は、皇族数の減少による皇室のご活動の維持困難に備えた対応策をまとめた「皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」を発表した。

 論点整理にあたっては、国民の中に多様な意見があることを理由に、「皇位継承制度の在り方の問題に影響しないものであること」を前提条件として検討がなされた。その結果、「女性皇族が一般男性と婚姻後も皇族の身分を保持しうることとする制度改正について検討を進めるべきであると考える」とするいわゆる女性宮家創設案のほかに、「女性皇族に皇族の身分を離れた後も引き続き皇室活動の支援に関わっていただけるような仕組みを設けることは可能と考えられ、併せて検討を進めることが必要である」とする内容が併記されたのである。

 この論点整理を元に野田内閣は「女性宮家」創設を推し進める皇室典範改正をめざした(同年末の総選挙で敗れて総辞職したため立ち消え)が、有識者のヒアリングによる論点整理は「両論併記」だったのだ。

 後者の「皇族の身分を離れた後の皇室活動の支援」についてはもう少し詳しい説明が必要だろう。この中では、皇籍離脱後に「内親王」などの用語を称号として保持できるとする規定を皇室典範に設けることについて「皇族という特別な身分をあいまいにする懸念があり、法の下の平等を定めた憲法第14条との関係においても疑義を生じかねない」としつつも、次のように論点をまとめた。

〈婚姻により皇籍離脱をする女性皇族については、皇籍離脱後も国家公務員として公的な立場を保持していただき、皇室活動の支援という観点から、引き続き様々な皇室活動に関わっていただくような方策についても、検討に値するものと考えられる〉

 さらに「公的行為その他の行為を支援するのにふさわしい称号の保持ということについてのみ言えば(中略)新たな称号を、ご沙汰により賜ることは考えられないことではない」とも付け加えた。今回の「皇女」案は、この論点を下地にして生まれた案であり、決して唐突ではない。

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