コロナ発生源に関するウソを必死にバラまく中国 必死の宣伝工作も無駄と言われる根拠

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 新型コロナウイルスの発生源を調査するため、世界保健機関(WHO)が率いる国際調査団が来年1月第1週に中国を訪れることが明らかになった(12月16日付ロイター)。調査団は12~15人の専門家で構成され、6週間滞在する予定である。

 中国政府は昨年12月31日、湖北省武漢市で発生した新型肺炎の初めての症例をWHOに報告した。WHOはこれを受けて今年2月に中国へ調査団を派遣したが、発生源とされていた動物市場は調査できなかった。その後世界各国は新型ウイルスの発生源などについて調査するよう再三要請したことから、WHOは各国の専門家による大規模な現地調査を実施することを決定した。7月に先遣隊を中国入りさせたが、世界的流行の責任追及を避けたい中国政府の抵抗に遭ってこれまで実現してこなかった。

 その調査がついに実現するわけだが、その間に中国政府は周到に隠蔽工作を進めてきた。

 注目すべきは中国が「新型コロナウイルスの発生源は中国ではない」との宣伝活動を盛んに実施するようになっていることである。

 新型コロナウイルスは昨年末に武漢の動物市場で最初に確認されたとされているが、中国の国営メディアは「諸外国から輸入された冷凍食品により、新型コロナウイルスが中国に持ち込まれた」という主張を繰り返し報じている。容疑をかけられているのは、ドイツ産の豚、エクアドル産のエビ、ノルウェー産のサケなどである。

 一方、中国の研究者の中で「新型コロナウイルスの発生源はインドである」と主張する動きも出てきている。11月29日付サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国の研究者が国際学術誌「Molecular Phylogenetics and Evolution」に掲載した論文の概略を伝えているが、その内容は「新型コロナウイルスが武漢で発生する前に、豪州、バングラデシュ、ギリシャ、米国、ロシア、イタリア、インド、チェコの8カ国で既に存在していた。新型コロナウイルスは昨年の夏にインドで発生し、汚染された水を通じて動物から人間へと伝染した後、バングラデシュなどを経て武漢に流入した」というものである。

 たしかにイタリア国立がん研究所は11月中旬に「昨年10月にがん患者から採取したサンプルから、新型コロナウイルスが検出された」とする論文を発表しているし、米疾病予防管理センター(CDC)も11月下旬に「昨年末から今年初めまで米国赤十字が集めた献血7389件のうち106件から新型コロナウイルス感染の証拠を発見した」ことを明らかにしている。しかし、昨年9月にイタリアで新型コロナウイルスが存在していたとしても、必ずしもそこが起源だということにはならない。発生源とされたインドは、憤懣やるかたない思いではないだろうか。

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