朝ドラ「おちょやん」、役者は出揃っても視聴率はいま一つ 囁かれる根本的な原因

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

浪花千栄子を知らない

 ならば、不振の原因はどこに?

「最大の原因は、最近、同じような時代設定が続きすぎていることだと思います。『おちょやん』のモデルである浪花千栄子(1907~1973年)が、大正後期あたりから太平洋戦争を経て昭和後期まで活躍するというのは、前作『エール』のモデル古関裕而(1909~1989年)と重なる。女性陶芸家の『スカーレット』、アニメーターの『なつぞら』、チキンラーメンの『まんぷく』だって、戦中戦後を経て昭和30~40年代に成功した人たちでした」

 確かに朝ドラが描く時代は、このパターンが多い。とはいえ、大河ドラマの戦国時代同様、朝ドラにはその時代が求められているのでは?

「それだと『逃げ恥(逃げるは恥だが役に立つ)』や『わたナギ(私の家政夫ナギサさん)』(いずれもTBS)が好きな若い層には受け入れられません。それでも、前作『エール』が受け入れられたのは、モデルの古関本人は知らなくても、彼の作った曲を耳にしたことのある人は少なくなかったからでしょう。『まんぷく』のチキンラーメンだって同様で、現代に繋がるものがある。しかし、浪花千栄子を知っている人は、どのくらいでしょうか。いくら“大阪のお母さん”と呼ばれた昭和の名女優と言われても、50代でも『細うで繁盛記』(読売テレビ制作・日本テレビ)を覚えている程度でしょう。40代では地方の民家の壁に残ってるオロナイン軟膏のホーロー看板くらいしか記憶にないかもしれません。この人の人生を半年間、見てやろうというモチベーションは、なかなか上がらないのでは」

 さらに、従来の朝ドラファンには既視感があるという。

「17年後期の『わろてんか』のモデルは吉本興業の創業者でした。浪花千栄子の芸能生活の前半は松竹にいましたから、また大阪のお笑いの話かと思われるでしょう。以前に吉本をやったから、今度は松竹かと穿った見方をする視聴者も少なくないはずです」

 浪花千栄子を知らなくても、ドラマのテンポはよくなっているし、杉咲の演技もいいのだが……。20日からの第4週は久しぶりにトータス松本のダメ親父ぶりも見られる。面白くなってきたんだけどなあ。

週刊新潮WEB取材班

2020年12月20日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。