文在寅大統領の「岩盤支持層」が見事に崩壊 そのワケは“ふてぶてしい嘘”の数々

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検事総長の更迭に失敗

 文在寅大統領にとって12月第1週は最も衝撃的な週だったかもしれない。推進した政策がことごとく失敗しながらも40%を維持してきた「岩盤支持層」がついに崩壊したのだ。

 韓国世論調査機関「リアルメーター」が発表した11月30日から12月2日の世論調査によると、文大統領支持率は37・4%で「韓国ギャラップ」も39%になるなど、就任以来、初めて40%を下回った。

 その原因の1つは、検察トップの人事を巡る混乱にある。

 親文在寅派の秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が尹錫悦(ユン・ソギョル)検事総長の職務を停止する処分を下すと、尹錫悦総長は、不当だとして裁判所に仮処分を申請、裁判所は申請を受け入れ、尹総長は職務に復帰した。

 日本では尹総長と彼を巡る事件はあまり知られていないが、尹総長は、文在寅大統領の弾劾が取り沙汰されるほど大きな権力不正を掘り起こした人物である。

 文大統領の最側近である「タマネギ男」こと曺国(チョ・グク)元法務部長官や大統領府高官の職権乱用などを捜査し起訴したのだ。

 尹総長が、文在寅政府が推進する“脱原子力”政策に絡む大統領府と行政部公務員の不正の捜査に乗り出すと、秋法務部長官は検事総長を排除した。

 一方、裁判所が職務停止処分は不当だと判決を下すと、尹総長は次期大統領候補の支持率調査で1位に浮上したのだ。

 自分たちに目障りな人物を排除しようとしたはずが、逆にオウンゴールを決めた格好となった文在寅大統領。

 大統領という強大な権限を持っていながら、検事総長の人事で失敗した大統領の支持率暴落は当然の結果だ。

 しかし、強固と見られた岩盤支持層が崩壊したきっかけは、文大統領の政策失敗や無能ではなく、大統領のふてぶてしい嘘の数々だった。

「文在寅に裏切りを感じた」

 誰かに助けられたら恩返しの努力をするのが世の常だが、文在寅大統領の場合はそうではないらしい。

 文在寅大統領は、当時の野党「共に民主党」の代表だった2016年1月、総選挙を前に、政界で“キングメーカー”と呼ばれた金鍾仁(キム・ジョンイン)氏を迎え入れて大きな注目を浴びた。

 金氏の選挙戦略と全国で続けた選挙遊説は「共に民主党」に勝利をもたらしたのだが、その金氏は現在、保守野党「国民の力」で、文大統領を激しく批判する側に回っている。

 4年前には想像すらできないことだ。

 金氏は保守野党への入党を決めた今年3月、回顧録を出版し「文大統領の嘘が自分の心を変えるようになった契機」と述べている。

 金氏は回顧録で、2016年1月の総選挙前に文大統領が自身を3度も訪れ「危機に陥った党を助けてほしい」と入党を勧誘。

 金氏は断ったが文大統領の「金氏が民主党の比例代表国会議員になれるようにする」と夜遅くまで頼んだ提案を受け入れて入党を決めたという。

 金氏は、総選挙の勝利を文大統領にもたらしたが、党内の文在寅シンパからいじめに等しい冷遇と圧迫を受けた。

「約束は必ず守る」と言った当の文大統領は知らない素振りでいじめを放置し、金氏は離党を決断。

 金氏は、「文在寅に裏切りを感じた。基本的な人間性に問題がある」「(大統領として)3年間まともにやったことは一つもなく、国を経営する能力もないことを露わにした政権は審判を受けて当然だ」と批判している。

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