文在寅大統領の「岩盤支持層」が見事に崩壊 そのワケは“ふてぶてしい嘘”の数々

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自分たちだけが「正義」というプロパガンダ

 文在寅大統領がついた嘘をきっかけにたもとをわかったのは、何も政治家だけではない。

 韓国の有名な政治評論家で作家の陳重権(チン・ジュングォン)氏もその1人だ。

 彼は李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権当時、政府や保守与党を批判する先頭に立っていた。

 文在寅シンパの政治家や有名人と協調し、なかでも曺国前法務部長官とは親密だった。

 そんな陳重権氏も最近は、自身のフェイスブックに文在寅政権と政権与党を批判する意見を一日も欠かさず掲載し、多数のメディアがこれを引用する事態となっている。

 昨年12月まで、“文在寅大統領の国政運営を支持する、文在寅政権は絶対に失敗してはならない”など、熱烈な文在寅支持者だった陳氏が完全に距離をおいた理由も、文大統領一派のあやまちを認めず、自分たちだけが正義と叫ぶ“嘘”だった。

 今年1月、陳氏は、長年親交した曺国前法務部長官の態度に異議申し立てをした。

 曺国前長官は文在寅政府が目論む“検察改革”に取り組んだが、その検察の捜査に、"私は正義、検察は悪"という態度で臨んでいると陳氏には映ったのだ。

 陳氏は曺国前長官を「学生時代に民主主義運動を行った自分たちが崇高な改革と革命をしていると錯覚している」と痛烈に批判。

 さらに、陳氏は今年5月に疑惑が浮上した正義記憶連帯と尹美香(ユン・ミヒャン)・共に民主党国会議員の慰安婦寄付金の流用事件にも言及。

 各種疑惑に対する証拠と証言が続出しているにもかかわらず、尹美香氏が「保守野党と土着倭寇たちがこれまで私たちの正義である慰安婦支援活動を傷つけようとしている」と釈明を繰り返していることを非難した。

 陳氏は「尹美香氏は国会議員になるため、慰安婦運動を隣国(日本)への憎悪を煽り立てる退行的民族主義扇動に悪用した」とも主張。

 文在寅大統領の政治支持基盤の1つだった慰安婦団体は、ある者にとっては政治家になり、金儲けをする踏み台に過ぎなかったという疑念が増幅したわけだ。

 陳氏は、文在寅政府と政権与党が「嘘で支持層を集めている」とまで“口撃”するのだった。

次期大統領選挙には出馬しないと宣言したが

 文在寅大統領は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府の青瓦台(大統領府)秘書官に就任した2003年、「将来、政治を志すつもりはない」と記者会見で述べたが、9年後の2012年に国会議員総選挙に出馬して当選し、国会に乗り込んだ。

 2012年の大統領選挙で朴槿恵候補に敗れると、記者会見で次期大統領選挙には出馬しないと宣言したが、その5年後の大統領選に再挑戦して当選した。

 文大統領は、“崔順実ゲート事件”に関連し、朴槿恵前大統領が密かに大手企業のオーナーらを大統領府に呼んで崔順実氏の財団に資金を支援するよう要請した行為を“政経癒着”と非難した。

 しかし、2018年9月、サムスンやLG、現代自動車、SKといった4大企業オーナーを平壤に同行させて北朝鮮への投資と支援を強要、11月23日にも大統領の側近である李仁栄(イ・インヨン)統一部長官が4大企業の役員を集めて南北経済協力を模索するなど、北朝鮮への経済的支援を促している。

 数え切れない嘘で、岩のように堅い支持層からそっぽを向かれ始めた文大統領。

 彼の性格を冷静に見つめれば、例えば、朴槿恵政府の時に結ばれた慰安婦合意を破棄した理由も明白である。

韓永(ハン・ヨン)
韓日関係、韓国政治·時事専門ライター

週刊新潮WEB取材班

2020年12月8日掲載

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