競馬通DAIGOが「ジャパンカップ」の見所を徹底解説 「向こう100年、こんな戦いは見られない」

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 ウマは世につれ世はウマにつれ。時代を超えて語り継ぎたいレースがある。11月29日に行われるジャパンカップは、まさに歴史的な一戦。その戦いに挑む主役たちにまつわる物語を、誰もが認める競馬通のDAIGO、杉本清アナのご両名に語っていただきましょう。

 来る11月29日、東京・府中市の東京競馬場で行われるジャパンカップ(JC)。日本競馬史上最多、芝GIで8勝の最強牝馬(ひんば)アーモンドアイに、7戦無敗の三冠牡馬(ぼば)コントレイル、5戦無敗の三冠牝馬デアリングタクトが相まみえ、2400mで覇を競う。

「向こう100年、こんな戦いは見られません。言うなれば、“SDR”っすね。あ、スペシャル・ドリーム・レースです!」

 タレントのDAIGO(42)がそう言って目を輝かせれば、数々の名実況で知られるフリーアナウンサーの杉本清氏(83)も、

「私が競馬をはじめて59年になりますが、後にも先にもこんな組み合わせはありません。まちがいなく、いつまでも語り継がれるレースになりますよ」

 と、高揚感を隠さない。ご両名の前に、ベテラン競馬記者に3頭を紹介願おう。

「アーモンドアイは2018年に牝馬三冠を達成し、JCでは世界レコード。その年の年度代表馬にも選出されて、現役最強の名を恣(ほしいまま)にしてきました。5歳の彼女はこのJCを最後に引退することが決まっています。そのレースの大半をともに戦ってきたルメール騎手は、GIで8勝目となった天皇賞で感極まり涙を見せました。今回は、そんな“二人”のラストランです」

 お次はコントレイル。あのディープインパクトを父に持つ名血統だ。

「無敗での三冠は、05年の父のディープ以来、史上3頭目。正真正銘の“エリート血統”です。父ディープの背に乗っていた武豊さんは、騎手たちのトークショーで“どの馬が東京の2400mがベストなのかなと思ったら、コントレイルのような気はしますけど”と話していました」

 最後にデアリングタクト。

「母の父が名馬キングカメハメハなので、血統は決して悪くはありません。でも、生まれが北海道にある小さな家族経営の牧場でしてね。いわば、“雑草育ち”です。そこから三冠馬になったのですから、さらにJCで勝てば、ものすごいシンデレラ物語となります」

 デアリングタクトの代表オーナー、岡田牧雄氏は本誌(「週刊新潮」)にこう語っている。

「活躍は嬉しいですよ。最初の出会いはセリ市場でしたね。0歳市場での値段は800万円だったんですが、買い手がつかなくて。そのとき“800万円よりもう少し落とせないか”と売り主に頼むと、断られました。ですがその翌年の1歳市場でも売られていて、見るほどに“やっぱりいい馬だ”との思いが募りました。値は上がってしまいましたが、1200万円で落札したのです。それがここまで成長してくれた。デアリングタクトは、私にとって思い入れのある馬なのです」

 三冠馬の先輩たる最強女王に、エリート血統と雑草育ちが挑む三つ巴の対決は、

「出走予定は全17頭ですが、この3頭に敵う馬はいない。競馬では“穴を出すのは先行馬”“波乱の主役は逃げ馬”などと言われます。くしくも3頭ともレース中盤以降に追い込む差し馬です。たとえば逃げ馬のキセキが飛び出して、3頭がいつ仕掛けようか迷っているうちに……という可能性はゼロではないものの、まずないでしょうね。やはりこの3頭です」(競馬記者)

 それでは、ご両名にレースの見所を語ってもらおう。

今回限りの組み合わせ

 まずはDAIGOの熱弁。

「競馬には3歳時しか出られない三冠のかかるクラシックレースがあります。牡馬では皐月賞と日本ダービー、菊花賞。牝馬は桜花賞、オークス、秋華賞。それぞれのレースには一生に1回しか出るチャンスがめぐってこない。それを無敗で三冠達成したのが、牡馬ではコントレイル、牝馬ではデアリングタクトなのです。コントレイルは昨年他界したディープの“後継者”。親子で三冠という、とてつもないサラブレッドが現れただけでもスゴいのに、初の無敗の三冠牝馬となったデアリングタクトも走る。この2頭の初対決だけでもトンでもないことなんです」

 いまの新聞やテレビ、ラジオはこうした基本知識をあまり報じないから、ぜひ伝えたい――。そう話す杉本アナの言葉は力強い。

「三冠、三冠と簡単に言いますが、野球の三冠王とは意味合いが違います。日本では5月末の日本ダービーを終えると10月の菊花賞まで空きます。馬は夏の暑さに弱いので、菊花賞までの体調維持が難しい」

 だからなかなか三冠馬は出ないのだそうで、

「たとえば、東京五輪の1964年にシンザンが史上2頭目の三冠馬になってから、次のミスターシービーまで19年もかかっている。三冠馬が出るのは12~13年に1頭ほどの割合なんです。これを知ると、今年、おとこ馬とおんな馬両方の三冠馬が、かのJCで対決するなんて驚くでしょう? そしてそこに、GIで8勝という大記録を作ったアーモンドアイが入ってくる。この組み合わせは、後にも先にも今回限り。そう断言できるぐらい珍しい顔合わせ。だからこそ、みんなが騒いでいるんです」

 かつて日本ダービーなどで19万人の観客動員があったが、コロナさえなければ、今回のJCはそれを超す20万人が入ってもおかしくないほどの注目度。

 ただし馬券の売り上げは、ネットでの購入が浸透しているせいで、近年では例のない400億円台に届くかもしれないという。

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