浮気した妻が「DVをでっちあげ」 子供を奪われた男性が語る「日本のおかしな現実」

連れ去り 我が子に会えない親たちの告白 国内 社会 2020年11月27日掲載

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連れ去り 我が子に会えない親たちの告白2

 ある日突然、妻や夫が子供を連れて家を出てしまう。その日から“制度の壁”が立ちはだかり、我が子に会えなくなる。日本で横行している「連れ去り」は、国際問題にもなっている。外国人と結婚した日本人配偶者が、子供を連れ去りトラブルになるケースが多発しているのだ。1年半前、妻に二人の子供を連れ去られた、オーストラリア人ジャーナリスト、スコット・マッキンタイヤもその一人である。

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 今日で558日。

 毎朝、二人の子供と会っていない日数をカウントするのが習慣だ。仕事や裁判がない日は、子供を探しに出かける。区役所、警察署を回り、最後はあてもなく小学校を渡り歩く。やるべきことはすべてやってきた。あらゆる相談窓口を何度も繰り返し訪ねたが、誰からも相手にされなくなった。

 仕事は減り、7000キロ離れた母国からの仕送りで糊口を凌ぐ。家もない。同郷の友人宅を転々としてきたが、今の住まいからは2週間後に出なくてはならない。精神、肉体ともに限界に達しつつある。だが、帰国はできない。帰国してしまえば、僅かな可能性が潰えてしまい、二度と彼らに再会できなくなるからだ。

「悪夢を見ている気分です。目の前で起きていることが信じられない」

 スコットはやつれた顔でこう訴える。

「こんなことは母国オーストラリアで起こりえない話です。アメリカ、ヨーロッパ、ほとんどの先進国で『連れ去り』は誘拐、犯罪です。犯罪が目の前で起き、警察に“犯人を捕まえて”と訴え出れば、すぐに動いてくれる。それが当たり前でしょう。なのに、なぜか日本ではこの『常識』が通じない。逆に私が変人扱いされ、挙句、犯罪者にまで仕立て上げられてしまったのです」

突然、妻は子供を連れて帰国してしまった

 17年前、母国での日本人女性との出会いが、すべての始まりだった。

「シドニーにワーキングホリデーで滞在していた妻と知り合いました。3年の交際を経て07年に結婚。2年後には長女、さらに2年後には長男が誕生しました」

 スコットは、オーストラリアでは著名なフットボールジャーナリストである。SBSというオーストラリアの放送局に所属し、人気サッカー番組「ザ・ワールド・ゲーム」のレポーターとしてお茶の間に親しまれた存在だった。仕事は順調。日本人妻とのオーストラリアでの結婚生活は、幸せそのものだったという。

「年に一度は、みんなで日本に里帰りし、義父母もたまに日本から遊びに来てくれました。妻も家族全員に優しく、何の不満もなかった」

 だが15年に、とある事情でスコットはテレビ局から解雇される。それがきっかけとなり、夫婦関係にヒビが入り始めてしまうのだ。

「私はフリージャーナリストに転向しましたが、収入は減ってしまった。すると、経済的な不安からでしょうか、妻は突然、日本に帰りたいと言い出したのです。私は反対し続けましたが説得できず、ついに16年春に、子供二人を連れて帰国してしまいまいした」

 国際結婚における典型的な「連れ去り」パターンである。ただし、スコットの場合はそうならなかった。なぜならその後、彼は家族を追いかけ来日し、再び一緒に暮らし始めたからである。

 だが、このように海外で生活していた日本人妻が夫の同意もなく子供を連れて帰国してしまうケースは多発し、国際問題になってきた。1980年に採択されたハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)で、国境を越えた子供の不法な連れ去りが禁じられたが、日本が加盟したのは2011年(施行は14年)。日本は長らく国際社会から「連れ去り」を放置していると批判されてきた。今もEU諸国などから、日本は条約を履行していないと言われ続けている。

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