あの「ぱるる」が笑っていた…「バス旅」で振り返るAKBメンバー名場面集

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

北原里英、そしてぱるる

 大島から約2年3カ月後の今年9月に放送された「Z第14弾」の北原里英も印象深い。北原はNGTで初代キャプテンを務めていただけあって、まさにこの回ではキャプテンとしてチームを引っ張ることとなった。バス旅といえばバスが繋がらない区間は“歩く”というのがお約束である。だが、初日まったく歩かなかったことで、彼女のやる気がさらにパワーアップした。そして夕食の席でゴールへの強い決意が感じられる、格好良すぎるこの宣言が飛び出すのである。いわく「歩かずゴール目指しましょうよ」「本当にバスだけの旅を見せましょうよ」(実際は29キロ歩いたが)。また、2日めの午前中にもこんな場面があった。次のバスまで約1時間50分もあるので、ほかの方法でルートが繋がるか確認することを提案したのである。結局、ルートはなかったが、その後に関する有益な情報がゲットできたのだ。これは喫茶店で即、休憩したがっていた田中だったらありえなかったファインプレーで、まさに粘って聞き込みした甲斐があったワケだ。

 一方、太川チームに参加したメンバーなら、やはりぱるるに注目したい。この番組は苛酷なことで知られている。途中で「嫌です」「もう歩けない」というように簡単に弱音を吐くかと思いきや、旅番組のロケ自体が初めての体験だったこともあり、途中まで“旅番組のロケってこういうものなんだ”と思っていたフシがあった。しかも彼女の中で苛酷な旅番組といえば、「あいのり」(フジテレビ系)だったはずで……。

 だからなのか、バスの時間に間に合わないと悟ったら自ら全力疾走するなど、かなり見どころ満載だったのだ。さらに普段から運動をまったくせず、ダイエットするのなら、運動よりも食事制限を選ぶというほど運動嫌いだと語った彼女のハイライトがある。バスが繋がらず約19キロの道程を歩くハメになった場面だ。ルート選択に失敗し、バスチームのメンバーを長距離歩かせることになったことを悔やんだ太川はリーダーとして、ときには歩みを止め仲間を鼓舞し、ときには先に歩みを進めて新ルートが見つからないかバス停をチェックしていた。

 その後ろ姿を見たぱるるは思わず、「すごいなぁ…すごいしか出てこないです」「もう背中で“魅せる”人。“ザ・背中で魅せる人”」「俺について来い! っていう感じですよね」と塩対応どころか、感心しきり。まさにベタほめの嵐であったのだ。疲れた表情はしていたものの、リーダー太川に呼応し、歩みを止めず、進むことができたのである(結局、新ルートが見つかり、歩いた距離は約11キロにまで減ることに)。クリアしなければならないミッションも余裕の笑顔でこなし、まさに存在感をみせつけたのであった。

 今月11日に放送された“バスVS鉄道”の対決旅では、AKB48から横山由依がバスチームに、ももいろクローバーZから高城れにが鉄道チームに参加したこともあり、“国民的アイドル対決”が注目された。しかも道中に設定されたミッションをこなす際に、直接対決の場面もあったのだ。ひとつめは長野県にある白馬ジャンプ台の頂上からの写真撮影である。高城は、高所恐怖症ということもあって「うわぁ、ムリ!」とビビリまくりであった。対する横山は、顔色ひとつ変えず、遠くの紅葉を楽しむ余裕があったほどだった。2人とも撮影は1発クリアだったので、形的にはドローであったが、横山の方が度胸があったといえよう。

 ふたつめも撮影対決だった。こちらは、チームの2人が同時にジップライン(滑車を使ってロープを滑りおりるアトラクション)を飛んで、残る1人が撮影係となって3ショットを撮影するミッションだった。それぞれの撮影係になった2人は難なく1発で撮影に成功し、引き分けとなった。が、実は先に挑戦したバスチームは、当初、リーダー太川が撮影を担っていた。ところが2度失敗したため、横山に交代して成功したのだ。つまり、最初の2回、彼女はジップラインを“飛んでいた”のだ。バラエティ的には満点のパターンだったといえるだろう。

 最後に、なぜここまでバス旅でAKBが重宝されるのか、その理由を考えてみたい。ここまで書いてきた名場面にはある二つの共通点がある。ひとつは“勝ち気”、そしてもうひとつは“協調性”だ。握手会人気はもちろん、かつてはシングル表題曲の選抜メンバーが選抜総選挙やじゃんけん大会などで争ったことからも、勝負事では常にポジティブな気持ちで向かう必要性があった。その強さが苛酷なバス旅におけるゴールへの執念につながるのだろう。

 事実、AKBメンバーがマドンナならバス旅ではすべてゴールに成功しているし、対決企画でもかなり高い勝率をマークしているのだ。さらにグループでは個々が切磋琢磨しつつも、大所帯グループだから知らず知らずのうちに協調性が培われる。このシリーズでは短くて1泊2日、長くて3泊4日も他人とチームを組むことになるので、そこで個人プレーに走ったら、チームが空中分解することは明白である。もちろん、バラエティに慣れている点も大きい。ここ数年は乃木坂46を代表とする坂道シリーズに押されっぱなしのAKB48グループだが、ことこのバス旅に関しては、坂道シリーズからは乃木坂46OGの生駒里奈1人のみの出演に留まっている。だからこそ、AKBとの相性の良さが余計に際立つのである。残念ながら今月18日に放送された新作にAKBメンバーの参戦はなかったが、もしかしたらバス旅をきっかけにしてAKBの逆襲が始まるのかもしれない。

上杉純也

週刊新潮WEB取材班編集

2020年11月25日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。