防衛省「馬毛島」買収、45億円の島が160億円に化けた裏側 菅総理、加藤官房長官が関与か

国内 政治 週刊新潮 2020年11月19日号掲載

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防衛省「馬毛島」買収に暗躍した「加藤勝信」官房長官(2/2)

 鹿児島県の種子島の西方約12キロに浮かぶ広さ約8平方キロメートルの無人島、馬毛島(まげしま)。昨年12月、政府はこの馬毛島を約160億円で買収すると発表したが、買収を巡り、加藤勝信官房長官による“口利き”があった疑惑を前回(「利権の島」買収の裏に「加藤官房長官」 “口利き”面会記録も)報じた。評価額45億円といわれる島が160億円で買収された裏側とは――。

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 地権者は島の99%以上を保有する「タストン・エアポート」(以下、タストン社)という会社である。すでに島の所有権の半分以上が国に移っており、全てにおいて売買が完了したあかつきには、米軍空母艦載機の発着訓練(FCLP)用地として利用される予定だ。

 が、この買収の裏で大きな役割を果たした「リッチハーベスト」(以下、「リッチ社」)という不動産会社が、タストン社を相手取り、馬毛島の売買代金160億円の3%、約5億円を仲介手数料として支払うよう求める民事裁判を起こしていることはまだほとんど知られていない。

 タストン社とリッチ社は専属専任媒介契約を結んでおり、その背景に「脅迫」があったとタストン社側は主張しているが、提出された証拠には興味深い点がある。

 その証拠とは、馬毛島売買の仲介行為に関する「面談記録」である。これを見ると、専属専任媒介契約が交わされた2日後の2016年6月2日、リッチ社は当時内閣府特命担当大臣だった加藤勝信官房長官の議員会館で秘書と面談している。

 さらにその2年後18年10月25日から12月28日にかけて、リッチ社は4度も議員会館で面談している。タストン社と防衛省が馬毛島の売買仮契約を結んだのは19年1月9日だから、契約直前にリッチ社は加藤氏と面談を重ねていたことになるのだ。

 では、リッチ社と加藤氏はいかなる関係なのか。政府関係者によると、

「リッチ社と加藤さんの義父、故加藤六月元農水相は古くからの親しい間柄で、それが勝信氏に引き継がれていると聞いています」

 リッチ社は加藤氏を使って馬毛島売買交渉をまとめたことにより、いかなる利益を得たのか。それに触れる前に馬毛島の歴史をざっと振り返っておきたい。

いわくつきの島

 日本の無人島として第2位の広さを誇る馬毛島は、金と人間の欲望に翻弄され続けたいわくつきの島である。その歴史は、常に利権にまみれてきた。

 元々は1970年代、後に不正融資事件で経営破綻する平和相互銀行がレジャーランドを建設する目的で島の一部を買収したのが発端だ。平和相銀の子会社、馬毛島開発が所有者となったが、レジャーランド計画は頓挫。80年代には平和相銀の幹部が大物右翼を使い、自衛隊のレーダー基地として当時の防衛庁に買収させようと画策。数十億の金を政界にバラ撒いたとの疑惑が持ち上がったこともある。

 勲氏が社長を務める立石建設が馬毛島開発を4億円で買収したのは95年。その後は使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設計画が浮上したり、沖縄の普天間基地の移転先候補として取沙汰されるなど、さまざまな思惑に翻弄されてきた。

「勲氏が馬毛島開発を買収した時には島の約6割の土地しか買収されておらず、残りは勲氏が地権者を一軒一軒訪ねて買い増した」

 と、先の政府関係者。

「勲氏は一時、貨物専用空港を構想し、滑走路整備と土地の買い増しで200億円を上回る資金を投じたと主張していました。その後、米軍空母艦載機の発着訓練(FCLP)の誘致に切り替え、防衛省との協議を開始してからも滑走路の整備を続けました」

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