日本シリーズに過去5回出場した「坂本勇人」の成績は? 浮かび上がる丸桂浩との共通点

スポーツ 野球 2020年11月21日掲載

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 いよいよ今年のプロ野球日本シリーズが開幕する。日本シリーズでは、“逆シリーズ男”と呼ばれる選手が度々クローズアップされる。

 今年は読売ジャイアンツ対福岡ソフトバンクホークスという2年続けての顔合わせとなったが、そういう意味で注目されるのは読売の外野手・丸佳浩だろう。丸は広島東洋カープ時代の2016年に初めて日本シリーズに出場して以降、これまで3度のシリーズ経験がある。だが、その通算成績は59打数12安打で、2本塁打、6打点と低迷している。チームもすべて敗退していることもあって、野球ファンの間では、“逆シリーズ男”としてお馴染みなのである。とはいえ、そんな丸の陰に隠れているせいか、読売にはもう1人、シリーズ成績がヤバい選手がいる。チームリーダーの坂本勇人だ。日本シリーズには過去5回出場している坂本だが、3割を打ったのは1回のみ。あとの4回はなんと打率2割以下に沈んでいるのだ。というワケで“今年は大丈夫か!? 坂本勇人!!”の意味も込めて、これまでの坂本の日本シリーズの成績を簡単に振り返ってみたいと思う。

 まず最初は唯一、活躍した日本シリーズから。それは北海道日本ハムファイターズと対戦した12年の日本シリーズである。全6試合に3番・ショートとして出場し、25打数9安打3打点で打率3割6分の成績を残し、チームの3年ぶりの日本一に貢献したのだ(4勝2敗)。なかでも、ともに2勝2敗で迎えた第5戦では5-2とリードしていた4回表に追加点となる貴重な犠牲フライを放ち、チームの勝利(10-2)に一役買っている。ただ、活躍したといっても、1本もホームランを放っていないのが哀しいところだろう。それでもこれは“上出来”“マシ”なほうで、残り4回は本当に目も当てられない悲惨な数字が並んでいるのである。ここからその軌跡をたどってみよう。

 まず坂本が最初に出場したのは08年だ。対戦相手は埼玉西武ライオンズであった。シーズンでは高卒2年目ながら全試合スタメン出場を果たし、打率2割5分7厘、8本塁打、43打点という成績でブレイクしたものの、肝心の日本シリーズでは初戦から3打数無安打2三振、2打数1安打、3打数無安打1三振、3打数無安打1三振、2打数1安打1打点1三振、2打数無安打、3打数1安打1打点と苦しむことに。結果的に18打数3安打で打率1割6分7厘、2打点、1本塁打という成績に終わっている。

 そんななかで唯一の見せ場を挙げるとしたら、3勝3敗で迎えた第7戦だろう。1-0とリードした2回裏に相手先発投手の西口文也から自身シリーズ初本塁打となるソロを放っているのだ。それでもチームはこの試合に敗れ、日本一を逃す結果となっている。この翌09年は、シーズン中にトップバッターに定着した。打率もリーグ4位の3割6厘と活躍し、チームの2年連続日本シリーズ出場に貢献したものの、肝心の本番では21打数4安打で打率1割9分、2打点、本塁打0、4三振とまたもその打棒が不発に終わってしまう。

 2打点も初戦に挙げたものだった。1-1で迎えた5回表に飛び出した勝ち越し2点適時二塁打である。この試合は4-3で勝利したため、チームに貢献したといえるが、不動の1番バッターとしてフル出場を果たした割にはチームをけん引する活躍をしたとは言い難い。それでも4勝2敗で日本一に輝いたこともあり、“戦犯扱い”されなかったことは救いであった。4度目の出場を果たしたのは13年。相手は悲願のリーグ初優勝を果たした東北楽天ゴールデンイーグルスである。

 この年の楽天といえば、エース・田中将大がシーズンでは驚異の開幕24連勝無敗を達成している。その彼を筆頭とする投手陣相手にリーグ優勝決定後には、スタメン落ちを味わうほどの不振に陥っていた(最終的な打率は2割6分5厘と3割を大幅に割り込んでいる)坂本のバットは湿りっぱなしとなる。結果的に25打数5安打で打率は2割に止まり、三振も10を数えてしまったのだ。しかも第5戦では辛島航-則本昂大のリレーの前に3打数3三振を喫したほど。それでも2勝3敗と王手を掛けられて迎えた第6戦では意地をみせている。この日の先発は田中で、第2戦で対戦したときは4打数無安打2三振とまったく歯が立たなかった。

 しかし、0-2と2点を追う5回表に先頭打者として登場すると左中間フェンス直撃の目の覚めるような二塁打を放ち、この回の同点から逆転のお膳立てをしている。さらに6回表には追加点のきっかけとなるヒットで出塁し、8回表にも田中からヒットをマークしている。結果、4打数3安打の猛打賞であった。この大活躍もあり、試合は4-2で読売が勝利し、3勝3敗と逆王手を掛けることに。また、ここまでレギュラーシーズンとポストシーズン通じて無敗を続けていた田中にこの年唯一の黒星をつけることに成功したのだった。だが、最後の第7戦に敗れ、3勝4敗で惜しくも日本一奪回はならなかった。

 シリーズで打率2割に終わった坂本は本来戦犯と言われてもおかしくなかったのだが、それ以上に不振を極めた主力選手がいた。打率0割9分1厘、0本塁打、1打点だった阿部慎之助である。最後はまだ記憶に新しい昨年である。レギュラーシーズンから攻撃型の2番打者として固定された19年は全試合出場に加え、打率3割1分2厘、40本塁打、94打点でチーム三冠王に輝くほどその打棒は絶好調であった。ところが福岡ダイエーホークスとの日本シリーズではその絶好調がウソのように鳴りを潜めてしまう。

 特に第3戦ではホークス投手陣の継投の前に4打数無安打3三振と完全にお手上げ状態であった。このシリーズでの坂本はホークスバッテリーの強気の内角攻めに翻弄され続けた。結果はヒットはわずか1本に終わり、成績も13打数1安打で打率0割8分7厘という目も覆いたくなるほどの酷い成績であった。同じく9打数無安打の打率0割に終わった丸佳浩と並び、福岡ソフトバンク4タテ日本一をアシストした1人となったのである。今年もホークスバッテリーは執拗な内角攻めを繰り返すのか? それともシーズンのデータを洗い直して新たな対策で臨むのか? 丸はもちろんだが、まずはこの坂本である。読売の日本一奪回のために、今年こそ坂本が打たなくてはならない。

上杉純也

週刊新潮WEB取材班編集