「死ねない者」の苦悩と願望:高橋留美子『人魚の森』 独選「大人の必読マンガ」案内(26)

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 再生医療などの発達でヒトの寿命が将来、150歳程度まで延びる可能性がささやかれる。一方でニュージーランドでは最近、国民投票で安楽死が合法化される方向となった。新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、「死」について考える機会が増えた人も多いのではないだろうか。

 今回はそんな文脈のなかで、高橋留美子の傑作『人魚の森』を取りあげたい。

テーマは不老不死

 私ははじめ、この連作短編を『るーみっくわーるどスペシャル』(小学館)の全2巻版で読んだ。手元にある2003年刊の『人魚シリーズ』(同)は『人魚の森』『人魚の傷』『夜叉の瞳』の全3巻で、前バージョンで未収録だった「夜叉の瞳」と「最後の顔」が加わっている。...

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