大塚家具、久美子社長が辞任 株価はストップ高、今後はコンサルタントという悪い冗談

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“しくじり先生”として生きる?

 すでに大塚家具が上場廃止の猶予期間に入っていることは、デイリー新潮「大塚家具が上場廃止の猶予期間に突入 『久美子社長』が夢見るV字回復の見通し」(8月7日配信)で報じた。

「売上高がアップする要因として、ヤマダ電機とのコラボ店舗の拡大や新宿東口館の“大処分市”効果などを挙げています。しかし、予想売上高は18年12月決算より下回っているわけですし、“大処分市”は10月9日に始まったばかりのセールです。それらを加えても、まだ赤字です。さすがに親会社のヤマダ電機も、久美子社長の経営手腕に見切りをつけたというのが、本当のところでしょう」

 それでも業績予想は、こう結んでいる。

〈現在スピード感を以って取り組んでいる抜本的構造改革を期中に終える予定であり、来期黒字化に向けて道筋がつきつつあります〉

「彼女としては、最善策をとった上での勇退という形にしたつもりかもしれません。しかし、こうした前向きで強気の言葉に多くのスポンサーが翻弄されてきました。昨年12月にヤマダ傘下となった時には“黒字化まであと一歩”と言っていたわけですが、1年近く見守った結果がこれだった。大言壮語も、もはやここまで。今回、日経新聞まで、『2代目、現実直視できず 大塚家具社長辞任へ』(10月29日付電子版)と、辛辣に書いたほどです」

 一部抜粋すると、

〈赤字決算を発表する場でも経営不振についての総括や責任問題についてはあまり触れず、回復シナリオを説明しつづけた。「改革には時間がかかる」(16年の決算発表)、「残念な結果だが、今期はしっかりと立て直す」(17年の決算発表)、「黒字転換するのが自分の責務」(18年の決算発表)、「『攻め』に打って出る体制が整った。日本から一歩踏み出す」(19年の中国企業との業務提携・資本増強策発表後の会見)、「黒字化まであと一歩」(19年のヤマダホールディングス=HDとの資本業務提携の際)といった具合だ。どれも実現していない。(中略)ヤマダHDから更迭のプレッシャーを感じていたものの、自身のプライドが許さず、「辞任申し入れ」という形を取ったのかもしれない〉

 経営者として失格の烙印を押されたも同然である。実際、久美子社長退任が報じられるや、大塚株はストップ高に。

「結局、大塚株にとって彼女がお荷物になっていたことが証明されたわけです。彼女は株主利益を最優先とする“コーポレート・ガバナンス”を旗印に、父を追い出して経営を握りました。しかし、彼女こそがコーポレート・ガバナンスから外れていたわけです。5年も社長でいたために赤字経営が続き、株価は下がり続けた。あらためて株主や社員が気の毒ですね。今後はヤマダ電機の主導でどこまで回復できるか。すでに大塚家具という名を残す理由もなくなりました。看板は一新したほうがいいかもしれません」

 それでも久美子社長は怯まない。

「自身のTwitterでは、〈私は今後も大塚家具を側面サポートしていきます〉と宣言しています。29日の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、昨年3月から今年6月まで社外取締役を務めた、ハイラインズの陳海波社長が久美子社長の近況について答えていました。辞任発表した日に、彼女から電話があり、『コンサルタントをする、とか言ってました』と。現在、大塚家具に彼女のサポートを求める社員などいないでしょうし、彼女のコンサルを望む企業などあるはずはありません。『モーニングショー』のコメンテーター、高木美保さんが“しくじり先生”としてやっていけばいい、なんて言っていましたが、プライドの高い久美子社長にそれは無理です」

 彼女は今後どうするのだろう。

「結局、5年前に父・勝久氏が『ニトリさんとかイケアさんを意識してしまったら間違えます』と語っていた通りになってしまいました。彼女は、勝久氏が立ち上げた匠大塚に行くしかなくなるかもしれません。もちろん匠大塚の社員からの反発は小さくないでしょうが、父親にとって娘は可愛いはず。戻ってこいという気持ちもあるかもしれません。そもそも勝久氏が彼女を社長に抜擢したことから、お家騒動へと繋がったわけですし」

 行き場を失った“かぐや姫”が帰る場所とは?

週刊新潮WEB取材班

2020年11月2日掲載

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