タイ反政府デモに「セーラー服」「ハム太郎」… 現地記者が最前線を実況中継

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LGBTや中高生も参戦

 集会グッズも、デモには欠かせない。プラユット首相を揶揄するTシャツもあれば、催涙ガスから目を守るゴーグル、プラスチック製の鳴り物も売られる。中でも、ここ最近増えたのが、「3本指ポーズ」の関連アイテム。独裁政治への抵抗を意味する3本指ポーズは、ここ数年の反政府デモでのシンボルだ。「民主主義バンザイ!」などの掛け声ともに、参加者が3本指を空に向かって突き出す。デモ現場では、3本指をプリントしたTシャツや帽子などが幅広く売られる。

 今起きているデモが特徴的なのは、LGBT(性的少数者)や性産業従事者、妊娠中絶の権利を主張する女性たち、髪型などの校則撤廃を求める中高生など多様な層が加わっている点だ。

 首相府前での集会で、カタカナで「ユットジャープジュンカートェイ」と謎のメッセージが入ったTシャツが売られていた。売り主の若者に聞くと、「LGBTをいじめないで」という意味だそう。性に開放的とみられるタイでもLGBTへの差別はある。「みんなに理解してほしい」。願いを込めて自らの似顔絵をプリントした。

 中高生たちは、体罰など権威主義的な教育のあり方にノーを突きつけている。大人たちに反旗を翻す「バッド・スチューデント(悪い生徒たち)」というグループを組織し、教育省前で集会を決行。大臣と直談判し、変革か辞任かと突きつけた。

 デモに足を運んで感じるのは、単なる政治的なエネルギーを超えた、社会運動のうねりだ。警官隊と衝突の危険があると察知すれば、若者たちはヘルメットや、放水から身を守る雨傘とレインコートを進んで分かち合う。

 集会が終われば返却し、ゴミは拾って帰る。デモの現場からは、彼らが訴えたい価値観がみえる。

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