1枚10万円「偽造免許証」で逮捕者続出… 夜の世界で働く女性たちが必要とする理由

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偽造免許証を使う女性たちの事情

 それにしてもなぜ、風俗店で働く女性たちは偽造免許証を使うのか。かつて「証明書屋」で偽造免許証を購入したベテラン風俗嬢は、次のように証言する。

「私はコインロッカーを使わず、直接の受け渡しを希望しました。場所は新宿駅東南口の長い階段の下でしたね。いかにも競馬をやっていそうな風貌の男性が、新聞紙に挟んだ偽造免許証を持ってきました。料金は10万円です。私は昼間の仕事の関係で、店にはウソの免許証を出す必要があったんです。後に働いていたお店に国税庁からガサが入ったことがあって、働いていた私も身分証明書を出すよう言われ、それを見せたことがあります。それでもマル査には偽造を見抜かれませんでした」

 彼女のように昼間に仕事をしている、あるいは旦那に内緒で働いているといった女性は、素性を店に明かしたくない。このほか、店の個人情報管理が信用できないという理由もある。

「ストーカー化したお客さんが、ボーイにお金を払って、女の子の個人情報を知ろうとする場合もありますからね。あとは、年齢をごまかして入店しようとするケースもあると聞きます。40歳を過ぎると新しい店にはなかなか移れません。

 私の知っている女性は、実年齢が41歳なのに22歳の偽造免許証を使って、高級店に潜り込みました。ただ、さすがにお客さんからのクレームが多かったらしいです。偽造免許証のクオリティも低かったみたいで、免許証を見せてもらった女の子が『不自然に分厚かった』と言っていました」

 あるいは、店が率先して偽造をさせていた例も……。

「話題作りのため『姉妹』を売りにした2人の女の子を働かせていたオーナーがいました。ある実話系雑誌が彼女たちを取材することになり、『姉妹である証拠を出せ』といわれた。そこでオーナーは住民票を偽造したらしいです」

 繰り返しになるが、偽造はれっきとした犯罪行為なので、決して真似してはいけない。

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
1971年福島県生まれ。上京後、18歳で風俗の世界に入り、ソープランド、ファッションヘルス、AV女優、ホテトル、性感マッサージ、SM倶楽部などを経験。23歳で風俗を引退し、作家に。主な著作に『売る男、買う女』『ラブレスセックス』(ともに新潮社刊)。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月28日掲載

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