専業タレントはもう古い? フワちゃん、丸山礼、ラランド・サーヤ…二足のわらじ女子たちの強さ

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見えない「苦労」より見せる「努力」 あえて専業タレントに縛られない戦略

 かつてのお笑い芸人といえば、売れない下積み時代はアルバイトにいそしんでいた、というエピソードをよく聞く。けれども二足のわらじ女子たちに、下積みの悲哀や泥臭さは感じられない。その手の苦労話を語る芸人は腐るほどいるし、テレビに出て売れない限りは、過去を披露するチャンスさえもらえない。ではテレビに出るのに必要なのは何かというと、才能よりも話題性ではないだろうか。

 それならば、別の道で話題になってからテレビのオファーを待てばいい。二足のわらじ女子たちに感じるのは、そんな冷静な生存戦略である。そして成功の秘訣は、見えない「苦労」より見せる「努力」だ。フワちゃんや丸山が、YouTubeで試行錯誤を重ねて人気に火がついたように。サーヤがファッション誌ばりに、「広告代理店勤務」をアピールするように。

 最近ではゆりやんレトリィバァのダイエットが記憶に新しい。彼女もピアノネタや全米デビューに続き、今度は筋トレに励む様子を見せて女性層の支持を得た。黙々と本業を頑張るのではなく、本業以外の分野に挑戦する様子をどんどん見せること。それこそが令和で好まれる「努力」のあり方であり、ひとつの勝ち筋なのだろう。

 自虐やブスいじりもいとわず、お笑いだけに打ち込む女性芸人ももちろんすばらしい。彼女たちのひたむきさが好きな人には、二足のわらじ女子たちは浮ついて見えるに違いない。おそらくそのモヤモヤを中和しようと、「実は帰国子女でバイリンガルのフワちゃん」とか、「よく見ると美人のサーヤ」とか、妙な枕詞がつくこともある。そう思うと、二足のわらじ女子たちのブレイクは、まだ第1段階に過ぎないのかもしれない。彼女たちが本当に評価されるのは、その枕詞が取れた時なのだろう。その時こそアッコさんに、「君は何をしている人なの?」と改めて聞いてみてもらいたいなと思う。

冨士海ネコ

2020年10月25日掲載

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