「コロナ調査報告書」から小池都知事が逃亡 「ロックダウン」発言の責任追及を恐れて

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 コロナ禍における日本の政策を検証する上で一級品の資料だろう。民間で編纂された新型コロナ対応の調査報告書では安倍晋三前総理を始め、官邸幹部などお歴々がインタビューに答えている。しかし、キーパーソンである東京都の「女神」はあろうことか、そこから逃げていた。一体なぜなのか。

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 その報告書は「新型コロナ対応・民間臨時調査会 調査・検証報告書」と題され、今月23日には書籍として発売される予定である(電子版は18日発売)。

 まとめたのは一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ。理事長は元朝日新聞主筆の船橋洋一氏である。

「2011年に前身の団体が作られ、福島原発事故に民間の財団として調査報告書を作成しています。書籍も発売し、10万部以上を売り上げていました」(政治部記者)

 今回の報告書は一連の政府のコロナ対策について、当時の総理や菅義偉・前官房長官、官邸スタッフら計83人に聞き取りをした内容をもとに構成。今月8日、記者会見で発表している。

 報道関係者が注目したのは4月に発出された緊急事態宣言のくだりである。

 報告書から引用すると、

〈緊急事態宣言に関する検討は3月23日の小池知事による「ロックダウン」発言により、大きな影響を受けることとなった〉

 この発言で食料品の買い占めなどが広がり、政府は緊急事態宣言で国民がさらにパニックを引き起こすのではと宣言発出を遅らせざるを得なくなった、としているのだ。

専門家に頼り切り

「西村康稔コロナ担当相も報告書で、このことで結果として宣言が遅れた旨を認めています」(同)

 そもそも、当の小池知事は財団のインタビューには応じず、代理として都の幹部が答えたという。

 財団の船橋理事長は、

「小池さんはどうしても時間の都合がつかないとして、代わりに都の幹部が1時間半にわたりZoomで応じてくださいました。また、他にも都幹部2名にご協力いただいています。小池さんの政策に関する評価はこの報告書に載っている内容がすべてです」

 都という大きな自治体を預かる一国一城の主とはいえ、時の総理を凌駕するほど多忙なのか、疑問を呈する声もある。

「いかにも小池さんらしい対応ですね」

 とは、都政担当記者。

「ぶら下がりや会見で新型コロナの対応について質問しても、“それは専門家の意見を伺って”“専門家によれば”という答えがとても多い。要は小池さんはコロナに関する政策などに関して主体的には答えない。失言で支持率が落ちることを恐れているのでしょう。だから聴取にも応じなかったのではないでしょうか」

 報告書は小池氏の外出自粛の呼びかけが感染者を減少させた、とも指摘するが、前東京都知事の舛添要一氏はこう言う。

「ロックダウン発言に加え、東京アラートなど、結局彼女のやってきたのはパフォーマンス。結果、都民を混乱させただけです。今回の報告書はデータやファクトで彼女の政策を検証していますから、本人は相当嫌なのだと思いますよ」

 本来の「女神」は民衆を「自由」へ導くはずなのに。

週刊新潮 2020年10月22日号掲載

ワイド特集「人の口に戸は立てられぬ」より

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