高級車専門カーシェア会社が破綻で600人がローン地獄 顧客が語る“詐欺的ビジネス”の全容

国内 社会 2020年10月19日掲載

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「300~400万のアルファードを800万と偽装していた」

 不動産契約が一段落したころ、新たにXが勧めてきたのが、彼らが新たに立ち上げたカーシェアビジネスだった。

「同じカラクリが、カーシェアでも使われています。ただ、それに気づいたのは、Sグループが破綻し、ほかの被害者たちと連絡を取り合うようになってからのこと。購入した時は、彼らが語るビジネスモデルを信じ込んでしまっていた。被害者の多くは私のような、車に関する知識がない若者ばかりです」(同)

 彼が購入したアルファードの車体価格は800万円。だが、本当の仕入れ値は「300~400万円くらいだったのではないか」という。

「中古車販売業者を絡ませ、特別仕様だとか偽装し、800万円の価値がある車として販売するのです。完全にグルな業者もあれば、事情を知らずに委託販売しただけの業者もいます。私たちは実際に車に乗るわけではないので、車の確認すらしない。Xから部下を紹介され、言われるままに信販会社の7年ローンの審査書類を書かされました。年収も本当は500万円でしたが、『それじゃあ審査が通らないから850万と書いて』と。信販会社も儲けたいから、審査を通してしまうのです」(同)

 このローンを組むことで平野さんは50万円を報酬として得たが、当然、毎月のローン返済も発生する。84回払いなので分割手数料も高く、月々の支払いは約14万円にもなるが、

「それはすべてSグループが代わりに支払ってくれるという話でした。ローン代、保険料、駐車代に加えて、自動車税も。さらに、自分が所有する車の売り上げの5%もボーナスでもらえますよと。実際にその後、毎月、保険代を加えたローン代金が、傘下の会社から振り込まれてきました。費用は、カーシェアビジネスでまかなっていけるというのが、彼らの話でした」(同)

Xと連絡が取れなくなった

 当初の説明では、契約後2年が経過した時点で、Sグループがローン残債を一括で支払い、車を買い上げてくれるという話だったという。

「私が契約したのは2019年1月で、今年1月に満期を迎えたのですが、『7年契約に延長してくれたら、月々1万円の報酬を出します』と彼らから強く勧められ、安易にサインしてしまったのです。すると、8月末から入金が止まってしまった。Xに電話してもつながらない。会社に電話をしても担当者は辞めたと。そして10月上旬に破産手続きに入るとの連絡が入ったのです」(同)

 残った借金は900万円近くにも上るが、

「私の手取りは30万ちょっと。14万もローンを払っていたら、生活できません。いまは銀行ローンへの借り換えを検討しながら、車を取り返すべく所在を探しています。見つかり次第、すぐに売却しローン返済に充てるつもりです」(同)

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