韓国「徴兵制」まもなく70周年 軍と兵役は最も不正が深刻だとされる理由

国際 韓国・北朝鮮

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「韓国は先進国と言う人がいるが、軍隊は人権蹂躙でしかない」

 韓国は国家が個人の自由に干渉することが多く、世界でも数少ない独特な状況にいまだにおかれている。なかでも軍隊は、韓国で徴兵制が始まって以来、解決しなければならない課題が多い分野である。近年、募兵に関してさまざまな議論が出されているが、軍人の処遇改善が遅れていることに変わりはない。

 韓国では、光化門や江南駅などの人が多い繁華街で「K9自走砲やK1戦車を運転できる人は手を上げてください」と叫ぶと、少なくとも20人以上が手を上げるという話が冗談みたいに語られる。

 銃を撃った経験を問う質問は子供だましみたいなものだ。

 韓国社会で、軍隊は男性にとって特別な意味を持ち、また、敏感なテーマなのだ。

 筆者は26か月、陸軍に勤務した。

 下士以上の副士官と将校は職業軍人で、今回、取り上げるのは二等兵から兵長までの徴兵による軍人である。

 いまは服務期間が大幅に短縮され、陸軍は18か月となった。

 韓国の徴兵制は1951年に始まり、陸軍、海軍、海兵隊、空軍、常勤予備役、義務警察、義務消防、海洋義務警察など多様で、服務期間は所属する軍によって18か月から21か月となっている。

 服務期間後の8年間は予備役に、また満40歳まで民防衛に参加することが定められており、兵役は満18歳から始まり、終わるのは満40歳である。

 韓国は先進国と言う人がいるが、軍隊は人権蹂躙でしかない。

 最も血気盛んな10代末から20代前半に入隊し、社会のどん底に落ちるといっても過言ではない。

 義務という名の下、韓国の健常な平均男性は集団生活をしながら、少なからぬ時間を国家のために費やさなければならない。

服務期間中に負傷し、個人が治療費を負担しなければならないケースも

 一番の問題はそれに伴う補償や処遇が非常に小さいことである。

 国家は国民の義務を掲げて若者に時間を割くよう要求するが、軍隊を終えても保証など得られるものはほとんどない。

 さらに、服務期間中に負傷し、個人が治療費を負担しなければならないケースすら珍しくない。

 最低賃金に及ばない給与と劣悪な環境、自由が剥奪された状態で1年以上を過ごす軍隊は決して良いとはいえない。

 いまはかなり改善されたが、2020年時点の兵長の月給は54万ウォン(1ウォン=0.09円)水準で、二等兵は40万ウォン程度しかない。

 筆者が服務した当時(1998年から2000年頃)、兵長の月給は1万3000ウォン程だった。

 兵役を終えると公務員試験を受ける際などに得られた軍加算点制度は2001年に廃止され、軍隊は何のメリットもない「男性にとってのお荷物」に転落した。

 一時は「軍隊に行ってこそ分別がつく」「兵役済み優遇」などといわれたが、いまや何の意味もない言葉である。

 韓国では軍隊はとても敏感なテーマとなっている。

 政府の高位職に就く際、軍隊問題が影響することがあり、子息や親戚の軍隊問題にあたふたするケースは珍しくない。

 最近では、秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の息子が軍服務期間中、休暇に関する特恵を利用した疑惑が浮上し、有名芸能人の軍服務問題も常に韓国社会を騒がせている。

 高位層の息子の軍服務はいつも話題になる。必要なときに作動しない監視カメラの如く、タイミングを選んで病気になる人も多い。

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