韓国「徴兵制」まもなく70周年 軍と兵役は最も不正が深刻だとされる理由

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いまだ韓国に入国できずにいる人気歌手

 また、秋美愛氏の息子の軍服務特恵疑惑と合せて、BTSの兵役特例(免除)も世間を賑わせている。

 前例は2002年ワールド杯代表選手の兵役特例だ。

 法令によるスポーツ関係者が兵役特例を受ける要件は、五輪銅メダル以上、アジア大会金メダル以上の獲得で、ワールド杯は該当しないが、金大中元大統領が特例を認めて公平性を失った。

 また兵役特例を目的とする行動も多くなっている。

 人気歌手のユ・スンジュンは「必ず軍隊に行く」とインタビューで何度も答えた後、米国籍を取得し、兵役問題で大きな話題を集めた。

 ユ・スンジュンは02年に入国禁止を受けて以来、いまだ韓国に入国できずにいる。

 芸能人の兵役不正は他にも多い。

 虚偽の診断書を提出する例や、また人気歌手だったMCモンは、奥歯をすべて抜いて兵役逃れを試みたことが発覚した。

 06年、KBSと聯合ニュースが行なった調査で、資産規模200兆ウォン以上の7大財閥家は兵役免除率が33%と、一般国民の6・4%の5倍を超えていたことがわかった。

 なかでもサムスン家の免除率は73%にのぼったが、調査当時の該当者は、現在、グループ企業を率いる立場にある。

 義務化されている兵役と軍隊問題が韓国社会で敏感な話題となっているゆえんでもある。

韓国の軍隊は国を守る以外に若い男たちの青春を消費する所

 韓国人の間で、軍隊と兵役は最も不正が深刻な分野と認識されている。

 一般人と高位者層、財閥の兵役免除率がはっきりと分かれ、それによる大小の事件が多いのだ。

 大韓民国憲法には「国民の4大義務」として納税、国防、勤労、教育が明示されているが、このなかで国防の義務は男性にだけ該当する点も常に問題点として指摘されている。

 男性のみが対象の国防義務にフェミニストや女性団体の感情的な主張が反映されることもある。

 来年、韓国は徴兵制70周年を迎える。

 70年の時間はさまざまな変化をもたらしたが、軍隊も変わったのか。

 大部分の韓国人が「そうではない」と答えるだろう。

 軍隊の話は男性が集まる酒席で外すことができないテーマだが、愉快な内容はあまりない。

 誰がどのように免除を受け、誰がどのような方法で良い所に配置されたという話は至るところで耳にする。

 日本と異なり、韓国の軍隊は国を守る以外に若い男たちの青春を消費する所でもある。

 最近は、軍隊内部の事件や事故、不正は大きく減ったとはいえ、依然として韓国において軍隊と兵役は社会的に重要な問題を投げかける存在だ。

 軍隊と兵役は韓国人が責任を負わなければならない義務であり、最も血気盛んな時期に国家を守るために強制して徴集される若者たちの苦労に、国家は最小限の感謝と尊敬を示さなければならないだろう。

ソウルトンボ
ソウル在住の韓国人ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月11日掲載

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