「J2栃木」柳が“計3分”で3得点 闘莉王を彷彿させる「空中戦の強さ」がカギ

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 サッカーJ2・栃木SCに所属するDF柳育崇(26)の“偉業”は半端じゃない。

「三つの試合で終了寸前、後半のアディショナルタイムになって登場。どれもピッチ入りしてから1分でゴールを決めているんです。そのすべてが決勝点というのもスゴい。彼には『出場1分・得点1点』という公式記録がナンと三つもつきました」(運動部記者)

 最初は8月12日の対岡山戦。左サイドからのクロスに頭で合わせ、これが記念のプロ入り初ゴール。続く9月6日の水戸戦でも、ペナルティエリア左からの浮き球にまたも頭で合わせてチーム2点目をゲットし、試合は終了。さらに19日の磐田戦。ゴール前のこぼれ球を左足で決め、勝利をもぎとってみせた。

 観客にしてみりゃ“そろそろ帰り支度かな”なんて目を離したスキに見逃してしまいそうな美技ばかり。

 なぜまたそんな奇跡が?

「柳は身長188センチと体格に恵まれていることがまずひとつ。本来は味方ゴールの守りに活きる打点の高さが攻撃の武器となっている。かつて日本代表を務めたDF田中マルクス闘莉王を彷彿させます」

 空中での競り合いに滅法強かった闘莉王は、日本代表として国際Aマッチ通算8得点。欧米のスポーツサイトで〈得点力の高いディフェンダー世界トップ10〉に選ばれるなど名を馳せたが、

「柳に関しては、第一にチームの戦術が明確なんです。試合終了目前など得点が欲しい場面で高さのある選手を投入し、そこを起点に攻撃を仕掛けるパワープレー。古典的ではあるんですが」

 と、サッカージャーナリストの中山淳氏が語る。

「そうした時、高い身長は攻守両面で大きなアドバンテージになりますね。柳は野球の外野手のようにボールの落下点を読むのが上手く、空中のどの位置なら相手に競り勝てるか熟知している。本職がDFなので、相手ディフェンスの裏をかく動きも巧みです」

 柳は専修大からプロ入り。出場は今季14試合だ。

「資金不足でチームが助っ人外国人を雇えずとも、また、終盤までボールをつないで相手を崩す戦術を採れずとも、発想と起用法次第で試合運びはうまくいくという好例ですよね」

 栃木はJ2全22チーム中9位(9月25日現在)。イケイケ栃木、ガンバレ柳!

週刊新潮 2020年10月1日号掲載

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