年収20億円! 112万人から1900億円を集めた「ネズミ講」創始者の長男の告白

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国民の約1%が歪なマネーゲームに狂っていた…

 が、これは必ず行き詰まる。計算上では15代目には会員数が2億人を突破することになり、優に日本の人口を超えてしまうからである。

となると、もはや新会員の獲得は不可能で、下部会員を持てない場合は丸損になる。この点こそが、ネズミ講は詐欺だと非難された最大の理由に他ならない。

 その後、会の勧誘ノルマは2人と改められたものの、

「計算上は2人の勧誘でも28代目に日本の人口を超えます。でも、勧誘された皆が会員になるわけじゃない。実際12年で112万人しか集まらなかった」

 しかしそんな強弁が通るはずもなく、79年に「無限連鎖講防止法(ネズミ講防止法)」が施行され、天下一家の会は活動を停止した。

当時の人口は約1億1600万人だから、国民の約1%が歪なマネーゲームに狂奔していたことになる。

 創始者の内村会長は、終戦を20歳で迎えたという。

「海軍の予科練を経て特攻隊に入っており、8月18日に出撃を控えていたのが、終戦で命拾いをした。“これまでは国が面倒を見てくれたけど、これからは自分で何とかするしかない”と、あれこれ生きる術を考えた世代の1人だったのです」

 裁判資料によると天下一家の会は創立から9年後の76年にピークを迎え、1日に1億円の入金も珍しくなかったとされる。この年の内村会長の年収は2億7770万円で、全国長者番付39位。現在の価値で20億円以上を手にしていた。

小型飛行機や自家用ヘリ、高級外車や骨董品を購入していた

「でも、私腹を肥やすことはありませんでした。物へ執着もなく、一方で全国12カ所に会員向けの無料保養所を作ったのは、あくまで集まった金は皆のものと考えていたからです」

 元副会長はそう言うものの、裁判では内村会長が小型飛行機や自家用ヘリ、高級外車や骨董品を購入していたことが明らかにされている。

それが先の返金訴訟でネズミ講が「公序良俗に違反している」とされた理由の一つであり、加えて内村会長は自身の裁判に出廷する際に、女性運転手が運転する6ドアの大型ベンツで乗り付ける様子が報じられているのだ。

 その内村会長は83年に脱税で懲役3年、罰金7億円の有罪判決を受け、罰金の全額を支払えず刑務所に収監された。出所後、腎不全で69歳で死亡したのは20年前のことである。

 それにしても、40年余を経てもなお、元副会長からはついぞ反省の弁は聞けなかった。79年に『マルチ商法とネズミ講』を出版した、悪徳商法被害者対策委員会の堺次夫会長が指摘する。

「今さらどんな理屈を並べても、ネズミ講は社会的に否定された。だからこそ規制法ができたわけです」

 あくまで元副会長が悪びれないのは、

「当時は法律がないのを良いことに、何をやっても許されると本気で思っていた。今でも昔の思考が抜けないのでしょう」と、吐き捨てるのだった。

週刊新潮WEB取材班

2020年9月24日掲載

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