「自己破産した人にお米をあげたい」 故・岸部四郎さんが語っていた凄まじい借金地獄
「毎月お米を送ってあげたい」
高額なギャラも瞬間的に借金の返済に消えてしまう。自転車操業は長くは続かず、ついに自身の名義で振り出した手形が不渡りに。岸部さんはプロデューサーに降板を申し出る。
「プロデューサーに降板を申し出ました。その時も三百万くらいの金でしたから無理をすればどうにかなったかもしれない。でも、もうこんなことを続けていられない、これ以上金を借りても返せないのは目に見えていたわけですから、結果的に騙すことになってしまうことに耐えられなくなったんです」
自己破産後、周囲の反応は様々だった。友人だと思っていた人間に電話をしても「もう二度と電話をしないでくれ」と言われたことがあるという。一方で、兄の一徳をはじめ、ごく一握りではあるが手を差し伸べてくれた人もおり、そういう親切には胸が熱くなったと語る。
岸部さんの優しい人柄が伝わってくるのは、この一連の経験を振り返っての以下の言葉だろう。
「僕はいつも妻と話すんです。僕がもし前のように芸能界で復活できてお金も少しずつ余裕ができた時、友人で自己破産する人間が出たらこれだけはしてあげよう、って。まず住む部屋を借りてあげる。電話をひいてあげる。これは自己破産後に僕たちがものすごく困ったことなんです。そして毎月お米を送ってあげたい」
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