芦名星さんを偲ぶ 映画「七瀬ふたたび」で主演、多岐川裕美との新旧ヒロイン対談

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女優は恋多きほうがいい(多岐川)

――女優はいろんな役を演じるわけですが、いざ演じようとしたら引き出しが空っぽだったことはないですか。

多岐川 なるべく多くの引き出しをあけてみます。でも、どこにも当てはまらないことが最近多いので、またそこから悩んでしまう。40年近く仕事をしてくると、そのぐらいで自分が経験してきたことって一巡するんでしょうね。私、ここ2年ぐらい前から、もう引き出しがなくなって、ゼロからの気持ちで仕事をすることが多いんです。今は、新人だった頃、七瀬のときはデビューからちょっと経っていましたが、ほとんどその頃の気持ちで仕事をしています。

――引き出しを増やすためには、よく言われるように、「恋多き女優」のほうがいいのでしょうか。

多岐川 恋愛しているとき、こんなときにこんな気持ちになるとか、こんなときどういう行動をするとか、どんな顔をするとかということは、結構覚えておきますね。

芦名 私も覚えておきます(笑)。

多岐川 ですよね(笑)。

芦名 男性に対してすごく怒っているときとかに一瞬、あっ、こういうふうな感情のときは、無意識のうちにこういう仕草をしているんだとか、髪の毛さわるんだとか、ちょっと考えてしまうときはあります。

多岐川 自分がプライベートなときに、いつもではなくて、ちょっと意識を止めるときがありますよね。

芦名 ええ、あります(笑)。

多岐川 二人ともO型なんですけど、O型はそうなのかな(笑)。でも、俳優はみんなそうかもしれませんね。

 やはり、女優は恋多きほうがいいと思います。というのは、常に綺麗でいられる。恋をしているときって、誰でも綺麗だと思うんですよ。だから、恋愛はしていたほうがいい。実は自分を綺麗にするためだったりして(笑)。恋じゃなくても、ハッピーでいたいですよね。

芦名 やっぱり演技は自分の中からしか出てこないので、恋愛だけじゃなく、自分に対して新しいことをしていたり、自分が幸せな状態でいたりすれば、それが自ずと表に出てくるものだと思うんです。恋愛というより、人とたくさん接していったほうがいいと思っています。自分を開放して、人から吸収してという繰り返しの作業を常に止めないようにしておかないと、どこかで(女優としての成長が)止まってしまうんじゃないか。それはわたし的には不安なので、常に開放しておこうとか、いろんなものを見ようとか、感じようとかしています。そういう意味で恋愛もそうですし、いろんな経験もそうです。あとは、一般の方よりも、いろんな役を演じる中で、他の人生を経験させてもらうことが多いので、そういうものも自分の引き出しの一つになると思っています。

――芦名さんはどういう男性がタイプなんですか。

芦名 タイプは難しいですね。好きになった人が好き。

多岐川 私もその年ごろに聞かれていたらそう言っていたと思う。私は温かい、本当に心の広い人がいいですね。私が心の小さな人間なので(笑)、何が起きても動じないような人が今は理想です。細かい人はいやですね。

芦名 そうですね。日々評価されたり、自分で役に悩んだりするから、その辺でどうしても寄りかかりたいという思いが出てくるんです。普段どれだけ辛くても、風邪引いて熱があっても、そこでは「大丈夫です」と仕事をする。その辛さが顔や表に出ないように意識を張っている分、プライベートになったら、例えば向こうもそういう寄りかかりたい日であっても、もし私が寄りかかりたいと思っていたら、それを受けとめてくれるような方がいたら、いいなって。ちょっとわがままですけど(笑)。

多岐川 だから、結局、同業者はダメね。男優さんもわがままを聞いてほしい人が多いんじゃないかしら。

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