「日本不買」を展開する韓国なのに…ヒュンダイの日本再上陸の狙いとは?

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日本の技術は世界のメーカーをいつも驚かせている

 ポルシェはロータリーエンジンの開発に取り組んだが断念をしている。採算の確保が難しいからである。

 シトロエンも1967年にはドイツの「NSU」と業務提携を開始し、ロータリーエンジンの開発に着手。

 シトロエン・アミ8をベースに、コーチビルダー「ユーリエ」で専用のクーペボディを載せた「M35」を1969年に発表する。

 497.5ccの水冷シングルローターエンジンを載せたシトロエンM35。

 一般販売ではなく、シトロエンをこよなく愛するユーザーへのモニター販売の形を採った。

 モニター終了後は返却して別のシトロエン車を好条件で購入するか、M35を乗り続けるかを選択することができた。

 多くのモニターは返却を選択。「M35」は267台の生産に留まった。

 文字通り幻の「M35」は現在、世界に数台存在し、その1台は京都のシトロエン専門ショップが管理しているという。

 また1995年に販売されたホンダのインテグラ・タイプRは1800ccのエンジンで200馬力。

 市販車で1000ccあたり100馬力以上を出すには、レーシングエンジンでない限り無理と言われた時代である。

 アルファ・ロメオ開発陣がインテグラ・タイプRをテストした時「これが市販車なのか? 採算が取れるのか?」とのけぞったのは語り草だ。

 先ほど述べたトヨタ・ミライの価格への驚きも含め、日本の自動車メーカーは世界を驚かせてきたのである。

ヒュンダイ再上陸の真の目的は?

 さて、ヒュンダイが再上陸するのにあえてチョイスした車両は水素自動車だ。

 現在トヨタのミライのみが水素自動車として国内販売されている。

 そんな狭小なマーケットにどうして? 日本不買を謳う国がどうして日本で? などと様々な疑問が湧く。

 そもそも、国によって自動車のイメージは異なる。

「イタリアの車は優美である」とか「ドイツの車は実直である」と言われるが、日本車が評価されたのは「壊れない」だろう。車は直しながら乗るという市場の定説を覆したのだ。

 では世界5位に位置するヒュンダイグループの車はどうか。

 消費者の率直な意見の多くは、「性能の割に安い」「値引きが凄い(韓国国内を除く)」ということになるだろう。

 水素自動車に限っては1車種、トヨタ・ミライだけであり、そのミライをターゲットに日本でヒュンダイが勝負できるのは文字通り、「性能の割に安い」「値引きが凄い(韓国国内を除く)」点になるはずだ。

 それでもよほどの変わり者でなければ、水素自動車はトヨタ一択以外にない。

 さらに悪いことに、ヒュンダイの水素自動車はSUVしかない(バスも一応あるが)。

 あるヒュンダイの関係者に聞くと、日本再上陸の真の目的は「日本で売る」ことではなく「日本でも売っている」ことだという。

 世界で認められたヒュンダイが唯一「売れなかった国」、それが日本だ。

「日本でも売っているならヒュンダイのメンツもかろうじて保たれるのではないだろうか」とも話している。

 そのメンツもいつまで保てるだろうか。

 いくら世界的スターのBTSにあやかっても、日本不買という超アゲンストの風を吹かせている側の韓国が日本の土俵でビジネスをうまく運べるとは思えない。

 そもそもヒュンダイは、現在の日韓問題の深刻さをもっとキチンとリサーチするべきではないのか。

高秀樹
韓国在住ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月14日掲載

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