「朝鮮総連」の呪縛…「朝鮮学校」が授業料無償化を叫ぶ本当の理由

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12年間を朝鮮学校で過ごした「私」が指摘する闇

「高校無償化」制度の対象から朝鮮学校を外したのは違法だとして、愛知朝鮮中高級学校の卒業生が国を相手に損害賠償を求めた訴訟。最高裁第2小法廷は9月2日付で、卒業生側の上告を退ける決定をした。1審は「朝鮮総連や傘下団体の介入により、学校運営が『不当な支配』を受けている合理的な疑いがあった」と指摘、2審もこの判断を支持していた。最高裁が同様の判断をするのは、東京、大阪で提起された裁判に続き、3例目だ。小中高の12年間を朝鮮学校で過ごした「私」が明かす、朝鮮学校の背後に横たわる闇について。

 従来、韓国は朝鮮学校を差別し朝鮮学校出身の者が訪韓しようものならスパイ容疑で逮捕していた。それは90年代に入っても続いていた。

 そういう差別を受けたことを知らない世代の通う朝鮮学校は、慰安婦問題で注目を浴びる韓国の正義連の金福童(キン・ボットン)奨学金をもらっている。

 正義連には、慰安婦支援を掲げて集まったお金の使途が不明だという疑惑がつきまとっているが、その一つが金福童奨学金である。

 90年代には見向きもしなかったはずの朝鮮学校を取り込もうとする正義連(旧挺対協)と朝鮮総連の繋がりを思わせる一件だ。

 奨学金は2016年に始まって、18年に京都朝鮮学校の生徒が初めて受け取っている。一連の裁判開始のタイミングを考えれば、正義連による“意図を持った擦り寄り”と言われても仕方あるまい。

 その一方で韓国の日本大使館前では、関係のない韓国人が日本の朝鮮学校の授業料無償化を訴えるデモまで行ったりしている。

 そこには、朝鮮学校までも市民運動ビジネスに利用しようとしている姿が見え隠れするのだ。

 1983年に高校を卒業した私の記憶を辿ると、朝鮮総連は学校運営に関して、補助金や助成金すら日本に頼ることを良しとせず、北朝鮮の援助と在日同胞の寄付金のみで運営していた。事実、そのように豪語していた。

「小泉訪朝」を機に朝鮮総連の崩壊が始まった

 ただこれは後になって分かることだが、70〜80年代にはもう北朝鮮に日本の在日を援助する力はなくなっていた。

 高校時代、数ヶ月に1度、北朝鮮からの援助だという奨学金の金額を生徒会がポスターにして全校生徒に知らせていた。しかしそれも、朝鮮総連と朝鮮学校が作り出したウソだったのだ。

 2002年、平壌で小泉純一郎首相が金正日に会い、拉致事件を認めさせたときから朝鮮総連の崩壊は始まっている。

 これを機に在日は、それまで抜けるに抜けられなかった朝鮮総連から、蜘蛛の子を散らすように離れていった。

 朝鮮学校は幼稚園から大学まであり、80年代には全国で120校あまりあったと記憶している。それが拉致認定後の2016年以降は45校に減っている。

 当然、拉致を認めた後の朝鮮総連には人も寄付金も集まらなかったし、朝鮮学校に子息を通わせていた親たちの心も離れていった。

 それでもなお通わせ続ける親たちはこの授業料無償化に関して、朝鮮総連の行いを正す腹づもりはない。「個々の権利」として主張をしているのだ。

 裁判になると必ず現れる学生たちは、そういった経緯を知っているのか?

 私が通っていた頃は、中学生以上の生徒は数ヶ月に一度、強制的にデモに参加させられていた。

 正直に言うと、中学生の頃に参加したデモでは、訴える内容の正当性など知るよしもない。ただ言われたとおりに叫ぶだけの1日だった。

 高校生になると、デモの不当性を感じながらもやむをえず参加していたことを思い出す。デモに出ないと学校内での評価が下がるからだ。

 裁判のニュースで最前列に立ち涙ながらに訴える生徒たち。

 子供の無垢さに乗じる学校の体質を知っている私からしたら、裏で糸を引く大人(朝鮮総連)たちの顔をつい想像してしまう。

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