「朝鮮総連」の呪縛…「朝鮮学校」が授業料無償化を叫ぶ本当の理由

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日本語使用はつるし上げ、教育は「反日、反米、反韓」

 私が高校生の頃は、校内で朝鮮語以外の言葉(日本語)を使ってはならなかった。帰りのホームルームでは、日本語を使った違反者は密告者に告発され、つるし上げられた。これを「批判時間」といった。

 数学、理科、国語、英語は日本と同じような授業だが、朝鮮史と革命歴史は今思い出しても笑ってしまう。朝鮮史では朝鮮半島の歴史を習い、そこには当然反日、反米、反韓の思想が含まれていた。

 革命歴史では金日成の伝説を教わる。最初に教わったのは、チュチェ思想の土台と云われるマルクス、レーニン思想だったのを今でも覚えている。

 小学1年生の革命歴史で、マルクス、レーニンが何かも知らぬまま、詰め込み教育を受けていた。4年生になってマルクスとレーニンが人の名前だと知った。

 6年生になって初めて、マルクスとレーニンは2人の人物の名前だと知ったのだ。

 革命歴史の授業ではこんなことも教えられた。「金日成は幼少時、松の木に登り虹をつかまえようとした。それは朝鮮半島の独立をつかむ行為だと解釈されている」と。

そのことを先日、脱北者に話したところ、非常に驚いていた。なぜか?

 脱北者と話を続ければ続けるほど、北朝鮮での教育と日本の朝鮮学校の教育は寸分違わぬことを確信した。

 互いに「よくあんなバカげた伝説を習ったものだ」と爆笑し合った。そのバカげた革命歴史こそが反日、反米、反韓教育の元となっているのだ。

北への仕送りは朝鮮総連を通してせざるを得ないため

 現在、朝鮮総連に籍を置く在日の多くは、北朝鮮への帰国事業のとき、家族や親戚が帰国してしまった家族だという。

 かくいう私の叔父も71年頃、朝鮮大学で選抜されて、自分の意思とは関係なく北朝鮮に帰国してしまった。帰国したといっても、北朝鮮に本籍があるわけではないことを追記しておく。

 叔父は帰国後、北朝鮮で大学を卒業し、白頭山麓に農村のリーダーとして送られた。それを知った時からわが家の寄付地獄が始まった。叔父を平壌に住まわせるために寄付をし、かなりの物品を万景峰号に載せて送ったのだ。

 そのかいあって叔父は今、平壌で孫に囲まれる幸せな生活を送っているが、わが家はいまだに仕送りを続けている。仕送りは朝鮮総連を通してせざるを得ないため、在日は苦渋の選択で朝鮮総連に籍を置いているのだ。

 彼らは一体、何を信じて裁判まで起こしているのか。

 金正日が拉致を認めたことで北朝鮮と朝鮮総連を見限った在日は、日本で普通に暮らすことを選んだ。もう朝鮮総連のウソ、民族教育のウソに振り回されたくないというのが本心だろう。

 では、朝鮮総連に踏みとどまっている人たちはどうだろうか。朝鮮籍、韓国籍であれば、母国語を習うのは悪いことではない。

 だが、21世紀の今、民族教育を受けるのがどういうことなのか、冷静に判断してほしい。

北朝鮮、朝鮮総連の呪縛から解き放たれた民族教育であれば

 私も母国語を学べたことには感謝している。また、たくましい精神を育ててくれたことも。しかし、時代はもう変わっている。

 本当に朝鮮学校の授業料無償化を願うのなら、朝鮮総連から独立し、親たちだけの支援で運営してほしいと思う。実際、70〜80年代には、親たちの支援で運営されていたのだから。

 北朝鮮、朝鮮総連の呪縛から解き放たれた民族教育であれば、周囲の理解を得られるし、通っている生徒も幸せになれるはずだ。

いまだに朝鮮総連に縛られ、幾多の活動に駆り出される学校運営に、無償化という手を差し伸べるのは、常識的に無理がある。

 金福童奨学金を受け取ることで、正義連と朝鮮総連とのつながりができること。それがどういう意味を持つのか。いささか酷な言い方かもしれないけれど、生徒たちもそれを考えてみるべきだろう。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月6日掲載

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