「マイク・タイソン」54歳で復帰の舞台裏 「大麻リゾート」の宣伝が目的?

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 マイク・タイソンが15年ぶりにリングに帰ってくる! が、元世界ヘビー級統一王者も54歳。なぜ今ごろ? とのギモンも拭えない。復帰戦実現に至るまでの裏事情を覗いてみよう。

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 7月末に発表された復帰戦の相手は、元世界4階級制覇のロイ・ジョーンズJr.(51)。タイソンから10年遅れて活躍した、こちらも伝説のチャンプだ。

 二人が拳を交わす夢の対戦は、9月12日、アメリカはカリフォルニア州でゴングが鳴るはずだったが、8月半ばになって、11月28日に変更されている。

 8ラウンド制のエキシビションマッチとはいえヘッドギアは着けず、ガチンコ勝負の予感が漂う。元「週刊ゴング」編集長で格闘技ライターの金沢克彦氏は、

「タイソンのミット打ちの動画を見ると、身体は引き締まっているし、動きも機敏。引退後に太るボクサーが多いなか、引退から15年経ってもあの身体はすごい! モハメド・アリ亡きいま、このカードは涙モノです。伝説といえるのはやはり、モハメド・アリとマイク・タイソンですから」

 と興奮気味。相手のロイ・ジョーンズについても、

「ミドル級出身でヘビー級までの4階級で頂点をきわめた非凡なボクサー。彼の場合は引退からまだ2年しか経っていません。だから、娯楽要素は薄れるでしょう。二人とも8ラウンドをフルに動けるかどうかは未知数ですが、その点、実戦から離れて長いタイソンに不安があるかもしれません」

 いずれにせよ、ファン垂涎であるのはまちがいない。

タイソン農場の宣伝

 カード決定までを、ボクシング担当記者が解説する。

「タイソンは2005年の引退までの約20年で、約364億円を稼ぎましたが、引退前の03年に自己破産しています。豪邸や高級車、2度の離婚慰謝料。ベンガル虎を飼い、取り巻き連中に宝石もばら撒きました」

 引退後は薬物逮捕もあったが、知名度を活かして自叙伝出版や俳優をしていた。

「そして18年、大麻が合法化されたカリフォルニア州で“タイソン農場”をはじめます。エドワーズ空軍基地近くに40エーカー、東京ドーム3・4個分の土地を買い、業者に大麻栽培をさせて月5千万円超の売り上げを得た。その後はデザート・ホット・スプリングスに大麻やマリファナを表すスラング『420』エーカーの土地を購入し、ホテルやプール、劇場などを含めたレジャー施設を建設中です」

 タイソンの相手がロイ・ジョーンズとなった経緯は不明ながら、7月末、TikTokのような短編動画アプリの「トリラー社」からカードが発表された。アプリの会社が“プロモーター役”とはいかにも現代風だ。記者が続ける。

「試合はトリラーが配信します。放映権料は約53億円。ファイトマネーは、海外メディアが双方10億円ほどではないかと報じています。ただし、試合前はタイソンのドキュメンタリーを週に2回流すので、これも儲かる。タイソンはファイトマネーを慈善事業に全額寄付すると言っていますが、トリラーからは寄付と同額ほどの“ギャラ”が出るでしょう」

 延期された理由も、

「9月はまだコロナの影響で無観客なので、延期すれば動員も望めます。周知の期間を延ばせば、タイソン農場の宣伝や海外への放映権販売にもつながる。ちなみに日本では、WOWOWが生中継する予定です」

 どうやらタイソンの復帰動機は、自身の大麻リゾートの宣伝にもあるようだ。WOWOWで解説をする予定のジョー小泉氏は、

「ともに全盛期は無敵の強さを誇ったモンスター同士の豪華カードです。今回の試みが成功すれば、過去のヒーローたちが対決できる可能性も広がりますよ」

 と期待を寄せる。

週刊新潮 2020年9月3日号掲載

ワイド特集「積み残しの宿題」より

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