フォロワーが約1日で6万人を突破 話題の島根「やすもと醤油」は通販商品も完売

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SNSに疲れていた人々

 ただ、根本的な方針は、スタート時に定めたという。それは「ファンを1人でも増やすこと」だ。

「多分、フォロワーになってくださったり、商品を買っていただいたりした方々は、私たちを応援してくれたのだと思います。そうして縁が生まれた皆さまに、1年に1度でもいいので、私たちの商品を再び買ってもらう。つまりリピーターになってもらうことを目標に頑張っていこうと思っています」

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「多くの人たちが『このツイッターはあざとくない』と思ったのが好評の理由ではないでしょうか」と分析する。

「新型コロナウイルスの感染拡大で、STAY HOMEが呼びかけられています。そのためSNSの接触時間が増加傾向を続けています。ところが最近、迷惑系YouTuberの乱暴狼藉や大きな炎上、SNSの書き込みを苦にしての自殺など、深刻な社会問題が立て続けに発生し、かなりの人々が『SNSをやっていると心が荒んでしまう』、『もうSNSとは距離を置きたい』と悲鳴を上げていました。そんな中、ピュアそのもののツイートが投稿され、誰もが『一服の清涼剤』を感じて飛びついたのではないでしょうか」

ネットが持つ“善”

 老舗が開設した公式ツイッターという側面も大きかった。公式サイトを閲覧すれば、真面目に醤油を作ってきた歴史を簡単に理解できる。誰もが「ここは信用できる」と安心したのだ。

「このまま初心を忘れずに、下手に狙ったりせず、引き続きピュアなツイートを投稿されるのがベストだと思います。なかなか新型コロナ禍は収まらないので、家庭用の需用増は続くはずです。やすもと醤油が通販でしっかりとした販路を確立する追い風になるのではないでしょうか」(同・井上氏)

 井上氏は「昔のネットに横溢していた雰囲気を思い出しました」と言う。

「インターネットにおける言説は、昔から“ネットは便所の落書き”と批判されてきました。それは事実ですが、その一方で、ネットは当初から口コミを強力に発展させた、私たちにとって有益なツールだったのも事実です。誰も知らない良質な商品を、日本中の多くの人に知ってもらう。ネットが持つ“善”の部分を、今回のニュースは再認識させてくれたと思います」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年8月31日掲載

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