もともと反韓・嫌韓ではなかった「安倍首相」を変えた“事件”とは?

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慰安婦問題の解決なしに会談なしと条件を掲げていた朴槿恵

 つまり、日本国内の保守・極右勢力の勢力拡大と安倍首相個人の信念が平和憲法の改正をもくろみ、自衛隊の軍隊への転換を狙い、政治家の靖国神社参拝、徴用工、従軍慰安婦の存在を否定するなど、日本が犯した侵略の歴史を正当化していると言うのだ。

 しかし、それは完全に先入観に基づいた解釈だ。安倍首相は、家系のためにしばしば誤解されるが、もともと反韓論者でも嫌韓論者でもなかった。

 韓国に対して強硬な姿勢に転じたのは、朴槿恵政権の時だ。

 政権発足後3年間、日韓間では首脳会談が行われなかった。朴大統領が慰安婦問題の解決なしに会談なしと条件を掲げたからだ。

 そして2015年、安倍首相が初の首脳会談のために訪韓したが、昼時になっても韓国側は何のもてなしもしなかった。

 慰安婦問題について、日本側になにか“お土産”を期待したのに、何もなかったからだという。これは外交上の欠礼に他ならない。

 安倍首相は会談後、ソウル市内のとある食堂で随行員らとともに食事をしたという。このようなもてなしを受けて、気分が悪くならない人はどこにもいるまい。

李東原(イ・ドンウォン)
日韓関係史が専門の評論家。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月31日掲載

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