不況だとヒュンダイのトラックが売れる理由…韓国サラリーマン40代で肩叩きの悲劇

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早期退職の方が定年退職より多く、退職は突然勧告される

 多くの労働者が若手に道を譲る「名誉退職」の美名のもと、企業から退職を強要されているのだ。名誉退職と言うと聞こえはいいが、その実態は自発的な退職の強要である。表向きは60歳定年なのだから。

 このような名誉退職の制度は1997年の通貨危機以降急速に広まり、今では韓国社会に完全に定着したといっても過言ではない。全経連(日本の経団連に相当)傘下の、韓国経済研究院が作成した報告書「定年延長の争点と課題」によると2019年、韓国では定年前に退職した早期退職者数は約60万人にもおよび、無事に定年退職を迎えた人数(約35万人)よりも多くなっている。

 韓国における退職勧告は一般的に事前の意思確認や内々示などなく、突然行われる。また、企業が名誉退職対象者に対して、再就職先の斡旋やセカンドキャリアの職業訓練などを行うこともほとんどない。名誉退職者はまさに社会に放り出されてしまうのだ。

 日本と同じように韓国でも40代以上の特別なスキルを持たない退職者が、日々の生活費、諸々のローン、子供の教育費などを十分に稼げる職業に再就職することは困難である。そしてこのような労働者の多くが、先行投資や時間のかかる技術習得が不要の小規模店を起業する道を選択する。例えば韓国名物、フライドチキンや軽食のフランチャイズ店、そのほか行商などである。

 1トントラックや軽トラックは仕入れや配達はもちろん、行商やキッチンカーに改造するなど、業務用として多彩に活用できるため、多くの自営業者にとっては大切な商売道具であり、また仕事の相棒である。特にキッチンカーやフードトラックでの起業は、商店街などにテナントとして入るよりも小資本で起業できるという利点がある。

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