岸優太と重岡大毅、24時間テレビに初挑戦…王道の輝きと親しみやすさ

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“アイドル”というよりは『すごいな!』って思わせる人間になりたい

 ちなみに、拙著『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)で詳述したが、こう褒める堂本光一自身も相当なストイックさで“頑張る”人であり、その堂本光一をして「ホントに頑張る」と言わしめるのがすごいところである。岸は舞台中、堂本光一に言われたある言葉をこう振り返る。
「公演中に僕が熱を出したとき『無理して頑張れ』って励ましてくださったんです。人生で初めて聞く言葉だなあ、と思って今でも覚えています」(*6)

「無理せず頑張って」ではなく「無理して頑張れ」。そんな堂本光一に、頑張りを称賛される岸。
 そして17歳からの3年に及ぶ『SHOCK』出演が終わりを迎える2015年。岸は、野島伸司脚本のドラマ『お兄ちゃん、ガチャ』にジャニーズJr.としては異例の主演を果たし、King & Prince の前身となるグループMr.King vs Mr.Princeのメンバーに選ばれるなど、さらなる飛躍を果たすこととなる。

 その後のCDデビューを経て、2019年にはジャニー喜多川作・演出のミュージカル『DREAM BOYS』に主演。『SHOCK』を上演していた帝国劇場に主演として戻ってくることとなった。直前のジャニー喜多川の死を受けて、演技指導という形で堂本光一も加わった。

 堂本光一は岸優太のことを「自分のかっこ悪いところを思いっきりさらけ出せるって、すごく魅力的で素敵なこと」「稽古場で恥をかくことを恐れずにやってて。で、自分がダメだなと思うところにしっかり向き合うこともできる」とも称賛する。(*7)

“かっこいい”キンプリの中で“かっこ悪い”自分をさらけ出す勇気をもっている岸。先述したように“かっこよさは失われるもの”という認識があるせいか、かっこよさへの強い執着がない。

 自身の目指すところも、従来のいわゆる“アイドル”とは違っているようで、こう語っている。
「実力のあるアイドルになりたいです。“アイドル”というよりは『すごいな!』って思わせる人間になりたい」(*8)

 そして同じく、王道の輝きも放ちながら、意識的にいわゆるアイドルとは違うものを目指そうとしているのが「アイドルやけど自分らしくいたい」(*9)と語る重岡大毅だ。

「俺じゃダメか?」の“あすなろ抱き”に匹敵する重岡大毅の熱演

 2006年に関西ジャニーズJr.としての活動を開始し、2014年にジャニーズWESTとしてデビューした重岡大毅。ジュニア時代は、家に大きい鏡がないからといって黒いゴミ袋を雨戸一面にガムテープで貼り、鏡代わりにして練習していたほどの努力家だ。(*9)

 グループのセンターを務めるが、24時間テレビのメインパーソナリティー発表時は、井ノ原快彦に「みんなグループのセンターじゃないタイプ」と、センターであることを忘れられるほど。輝きを放ちながらもお茶の間に親近感を抱かせるタイプである。
「昔ながらの“アイドル”って像が今はなくなってきてる気がするんだよね。そこにちょっと『よっしゃ!』って思ってる自分がいる」と語り、従来の“アイドル”とは違うところにも自分の魅力を発揮できる場所があることに自覚的。(*9)

 それゆえか、主演ではなくても映えるのが重岡のすごいところ。今回の24時間テレビの特別ドラマでは主演を務めるが、重岡が俳優として大きく注目を集めたのが、菅田将暉・小松菜奈ダブル主演の映画「溺れるナイフ」だった。

 菅田将暉という名俳優が2番手以降で出演していた2010年代の前半、よく起こっていたのが “菅田将暉が主演を食う”事態である。菅田将暉が巧すぎて、主演俳優の輝きが少し陰って見えてしまうということがよくあった。

 そんな時代を経て2016年の「溺れるナイフ」は菅田が主演、そこにヒロインを奪い合う2番目の男として登場したのが重岡大毅である。結論から言うと、「溺れるナイフ」は、2人が喰い合うことなく、別方向に素晴らしい輝きを放つという貴重なケースになった。

 それはさながら、事務所の先輩である木村拓哉が、1993年の月9ドラマ「あすなろ白書」で2番目の男・取手くんを演じ人気沸騰した瞬間をも彷彿とさせるほど。重岡のヒロインとのキスシーンの切なさは、「俺じゃダメか?」の“あすなろ抱き”に匹敵するものだった。なにより吉幾三の「俺ら東京さ行くだ」を歌って、かっこよく、泣かせもするのは後にも先にも重岡大毅だけではないだろうか。

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