ワインの「価格に騙されない」選び方、夏にガブガブ飲みたい「ロゼ」のお薦め

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真夏の日差し照りつける8月には何にチャレンジする?

 青い空に眩い太陽。乾いた風に澄んだ海。彼の地と比べると蒸し暑い日本で飲むなら、涼しい産地のロゼの方がいいかなってことで、まずはサンセールのロゼ。爽快な香りとすっきりした果実味のソーヴィニョン・ブランという品種で造られる白ワインで有名な産地で、そちらはご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。

 実際、生産されるワインの大部分が白。ただ、ピノ・ノワールから造られる赤とロゼもあり、フィロキセラという葡萄の病気が蔓延してこの地区の畑が壊滅的な被害を受ける以前は、ピノ・ノワールから造られる赤がメインの産地でした。このエリアのロゼは色も果実味も淡く品よく爽やかに楽しめると思います。

 それからビュジェ=セルドン。こちらは知らない方は多いかも。地理的にはリヨンとスイスのジュネーヴの中間あたりのややジュネーヴ寄りってところでしょうか。サヴォワというワイン産地の一つのエリアで、標高高めの急斜面に植えられたガメイとプルサールという葡萄からロゼのスパークリングだけが造られています。

 アルコール度は低めで自然の甘みがほんのりとありますが、砂糖の甘さとは違いサッパリと甘酸っぱい。ガブガブ飲めちゃいますし、クセになると思いますよ。

 もう一つは産地度外視で。このところ世界はロゼの人気が上がっています。フランスでもそうでロゼの消費量が白のそれを上回るようになっています。そんなこともありこれまでロゼを生産していなかったエリアでも、ロゼを造る生産者が増えています。有名なところだとボルドーでもロゼが増えていますが、フランス各地においてナチュラルワインの生産者を中心にテーブル・ワインクラスで面白いロゼが造られています。そういうワインを試すのも楽しいと思いますよ。

 暑い太陽の下、昼間でも夕方でものんびりリラックスしながらよく冷やして楽しんでみてはいかがでしょうか。訪問はままならぬ、かの地を思い浮かべながら。

幅紀長(はば・としなが)
東京・銀座のワインバー・オーナー。「自分の人生は世界中のワインを理解できるほど長くはない」という真実に気付き、フランスワインに溺れた生活が長らく続いておりますが、フランスワイン好きにもそうでない方にも、そもそもワインはそれほどでも……という方にも、少しでも楽しみや興味を持っていただけたら幸いです。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月22日掲載

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