失政「アベノマスク」検証 ミスを認めず責任も取らない政府(KAZUYA)

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 もはやマスクは一種のファッションとなりました。一般的な不織布マスクが多いのは当然として、おしゃれな布マスクも女性を中心に見受けられます。時期的に暑いけれどもマスクを外すに外せない状況ですから、少しでもファッションとして楽しみたいという面もあるでしょう。

 マスクといえば政府が1世帯2枚配布した、いわゆる「アベノマスク」の着用者を見ることはほぼありません。僕自身未開封で放置したままです。政権支持者はなんとか合理的に捉えようとする布マスク配布ですが、費用対効果を考えても失政と言わざるを得ないでしょう。

 7月27日に朝日新聞デジタルが【布マスク、今後さらに8千万枚を配布 不要論でも発注済】との見出しで記事を出しました。要約すると介護施設や保育所向けに今後約8千万枚の布マスクを配布する予定だという話です。今や使い捨ての不織布マスクがどこでも買えるようになりました。供給が増えているのです。それなのに不人気な布マスクを配布する意味があるのかということで、ネットでは賛否両論巻き起こります。

 政権支持者からは、朝日新聞の見出し詐欺だとか、予定通り配布を進めているだけだとの声がありましたが、記事を見ると「全戸向けの配布が完了した2日後の6月22日にも、伊藤忠商事など9業者に計約5800万枚を発注していた」とあります。その時期にはマスクも入手しやすい状況になっていました。状況が変わったのに、使う人が少ない布マスクの追加配布を推し進める必要があるのかというのが論点です。

 介護施設がどうこうというのも免罪符になりません。むしろ介護の現場こそ使い捨ての方がいいでしょう。布マスクは洗って使えるメリットはあれど、一体誰が洗うのか? 介護職の負担を減らすためにも使い捨てを優先させるべきです。

 野党は反対の声を上げ、7月29日には野党合同ヒアリングに厚生労働省の担当者を呼び、批判しています。議員が省内に異論がなかったのかと問うと、計画は予定通り進めると述べ、大臣、副大臣、政務官からも異議はなかったとしています。

 本当かよという話です。そう答えている担当者もアベノマスクをつけていないのですから、笑うしかありません。

 個別の政策の間違いがあってもおかしくはないのですから、認めて修正していけばいいのに、認めるのがとても難しく、ハードルが高いらしいのです。結局誰も責任を取らないし、無駄に税金が消費されていきます。

 新型コロナにおける日本政府の対応は完全にズレています。Go Toの見切り発車もそうですし、アベノマスクもそうです。10万円給付も金額と条件等で迷走しました。ただ最近の安倍政権は批判されると修正するという面も見えます。

 結局、マスク8千万枚の一律配布は断念されることになりました。民意を意識した良い傾向と捉えることもできますが、そもそもそうした政策を決めている人たちの感覚が極端にズレすぎだろうという話です。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。2012年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者73万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2020年8月13・20日号掲載

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