神戸ボウガン事件 動機は稼ぎ?妻に狙われた夫の言い分は

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 兵庫県宝塚市で6月に起きた、ボウガンによる殺傷事件。恐れていた類似の犯罪が神戸市でも……。7月26日朝、男性(36)は頭を何かがかすめるような衝撃で目を覚ました。彼を殺そうとして捕まったのはナント妻(33)。彼女はなぜ、凶器のトリガーを引いたのか。

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「110番通報があったのは午前6時過ぎ。樽井未希は“夫を刺した”と自分で電話をかけてきました」

 とは社会部記者。

「彼女はボウガンで夫の頭を射貫くつもりが狙いは外れ、次に包丁で切りかかった。そこで夫は飛び起き、妻を押さえつけた。その際、首を浅く刺されたものの、命に別状はありませんでした」

 未希は動機について、

「“働かない夫と別れたかった”“宝塚の事件を知り、夫を殺すためにボウガンを買った”などと話しているようです。ボウガンに加えて包丁まで用意していることから、強い殺意があったと警察は見ています」

 夫婦と子ども2人の4人家族。夫に代わって生活費を稼ぐため、未希が風俗店で働いていたとの報道もあった。未希の実母が嘆息してこう振り返る。

「娘は“自分は働いてるのに夫は全然働かへん”“男の子2人にお金がかかる。どうしたらええのんか”とこぼしてました。だからと仕送りすると、彼が“未希が好き勝手に使うからやめてくれ”と言うんですよ」

 で、未希は数年前に「離婚」を口にし始めて、

「私と会うたび“早う別れたい”と繰り返してました。どんどん痩せ細り、時には暴力をふるわれていたようで、“ようやくアザが治った”とも話していた。去年やったか、電話で“絶対に離婚するから証人になって”と言うので“ええよ。なったるで”と伝えました。小さい頃から大人しい子で、事件は本当にびっくりですわ」

 娘の凶行は、あくまで亭主のせいだと訴えるのだ。

銃刀法にボウガンを

 一方の夫の言い分とは。事件から1週間後の8月2日、夕刻に帰宅したところに声をかけると、

「僕は別に、妻のことは恨んでいませんから」

 とひと言。あとは沈黙を続ける夫に代わり、事情に詳しい知人が語るには、

「働かへんというのは嘘で、彼女の浪費や生活態度に問題があったと聞いています。旦那さんはコロナで職が限られる中、飲食関係の仕事もしてたのに、奥さんのカネの管理が杜撰で公共料金の支払いが滞ることもあったと。“子どものためによくない。風俗はやめてくれ”と繰り返し繰り返し言って、それでも聞かへんからカッとなってつい手をあげたことは、何度かあったみたいです。とはいえ、旦那さんは“自分が人間のクズだと見られることで嫁が情状酌量になるなら、それでいい”と話しているそうです」

 だが、夫婦が元のさやに収まろうと、話はそれでは済まない。いよいよ殺傷のための武器として使われ始めたボウガンは現在、都道府県ごとに条例で販売が規制されていたりいなかったりで、実態は野放し同然だ。

 弁護士の若狭勝氏は早急に法規制すべしと指摘する。

「ほとんどの条例は業者による店頭販売を規制するだけで、ネットや個人間での売買は対象外と抜け穴だらけ。銃刀法の対象にボウガンを追加し、刀剣類と同様に届け出制にすることが最低限必要だと思います」

 次の事件が起きる前に。

週刊新潮 2020年8月13・20日号掲載

ワイド特集「コロナ禍の女」より

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