「美空ひばり御殿」借金苦に光明 井筒監督の映画計画が進行中

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 美空ひばりの記憶が詰まった「ひばり御殿」を巡る借金問題を本誌(「週刊新潮」)が報じたのは昨年末。この邸宅の他、全ての遺産を受け継いだ息子の加藤和也氏は今も借金苦に喘いでいるが、光明がないわけではない。美空ひばりを「映画化」する計画がひそかに進んでいるのだ。

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「東京目黒 美空ひばり記念館」として一般に公開されてきた「ひばり御殿」もコロナの影響を受けた。「密」を避けるため、エントランスでのガイダンスビデオの上映などがなくなり、入館料は無料に。ただし、

「ひばりさんの仏壇が置いてある和室には寄付金を入れるための封筒が置いてあり、何となく寄付しなければ申し訳ないような雰囲気が漂っています。従来の入館料は1500円だったのですが、私は2千円を包みました。私の他にお客さんはいなかったです」(最近訪れたファン)

 その「ひばり御殿」の登記簿謄本を改めて確認すると、不動産金融業者「アサックス」が設定した極度額8億円の根抵当権は残ったままである。

「アサックスは銀行などから金を貸してもらえなくなった人や業者が使う会社で金利は6~8%と高い。8億円も借りれば、年間の利息だけで5千万円近くになる。謄本を見ると、その利息分を返すために別の会社や人から借金を繰り返していることが分かります」(不動産業者)

 まさに火の車。利息分とみられる4500万円を最終的に無利息で貸した格好になっているのは、「ZAC」という会社である。そこまでは本誌でお伝えしたが、謄本を見ると、その借金を今年6月18日付で弁済したことが分かる。一体、何があったのか。

井筒監督からの連絡

「ZACの実質的なオーナーは加藤さんに4500万円を貸しただけではなく、アサックスよりもたくさんの金を借りられる新たな金主も見つけてきた。さらに、新たな金主から借りた金で美空ひばりの映像作品を製作しよう、と加藤さんに提案したそうです」

 事情に詳しい金融業界関係者がそう明かす。

「映像製作を頼むのは、オーナーの知り合いの井筒和幸監督。美空ひばりをメインにして、彼女が所属していた山口組企業舎弟の神戸芸能社を描く、という案でした。反社の作品がなかなか撮れない今、美空ひばりをメインにすれば神戸芸能社のことも描ける、というわけです。オーナーの算段は、ネットフリックスに全20話で配信し、1話あたり1億円の利益を出す、というものでした」

 加藤氏にとっても悪い話ではなかったはずだが、

「何でも加藤さんが、新たな金主に金を借りるのは嫌だと言い出したとかで、映像製作の話はなくなりました。新たな金主を嫌がったのは、ひばり御殿や土地を取られる、と思ったからではないでしょうか」(同)

 計画が幻に終わったとすると残念である。しかし、

「井筒監督とのお話は終わったわけではありません」

 加藤氏の妻(ひばりプロダクション取締役)はそう話すのだ。

「確かに井筒監督を紹介してくださったのはそのオーナーですが、井筒監督はそのずっと前から美空ひばりの映画を撮りたがっていたのです。先日も井筒監督側から『コロナも落ち着いてきたのでご挨拶にうかがいたい』と連絡をいただいたところです」

 めでたく映画が完成するまで、不肖の息子は「ひばり御殿」を守れるだろうか。

週刊新潮 2020年8月13・20日号掲載

ワイド特集「コロナ禍の女」より

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