夏の甲子園 「ティモンディ」が今も忘れない名勝負 2018年「済美VS星稜」

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 高校球児のいない8月がやって来た。そこで今回は甲子園中止に残念な思いをしている高校野球ファンに向けて、高校野球通の著名人に過去の夏の甲子園大会の試合からご自身が忘れられない名勝負1試合を選んでもらい、語り尽くしてもらうことに。題して『夏の高校野球 甲子園球場で私が感動したベストゲーム』。

 今回話を聞いたのは、お笑い第7世代としてテレビなどで大活躍中のティモンディ(高岸宏行&前田裕太)である。高校野球界の強豪・愛媛県の済美高校の野球部出身として広く知られるこの元・高校球児コンビが選んだ試合は、第100回の記念大会で繰り広げられた熱戦であった。

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――早速、お二人に選んでいただいた試合からお聞きしたいと思います。やはり母校の済美の試合でしょうか?

前田裕太(以下、前田):もの心ついたくらいから僕は甲子園を観ているんですが、そのなかで一番痺れたし、野球って凄いな、面白いなと思った試合を選んでみました。それが2018年第100回大会2回戦の“済美(愛媛)対星稜(石川)”の一戦です。

高岸宏行(以下、高岸):あの試合は二人で電気量販店のテレビで観ていたんですよ。仕事の合間だったので。

――壮絶な試合展開で、文字通り“死闘”でした。

前田:実は済美の中矢(太)監督は高校時代、明徳義塾(高知)の選手で、それこそ松井秀喜(元・読売など)さんが5打席連続敬遠されたときの試合(=92年第74回大会2回戦)では明徳の控え選手だったんです。

高岸:逆に星稜の林(和成)監督はその試合で星稜のショートのレギュラーで試合に出ていました。

――因縁といわれるあの試合を甲子園で戦っていた二人がお互い監督になって、甲子園の舞台で、しかも100回の記念大会で再び相まみえる形になったワケですね。

前田:こんな縁があるんだって思いました。いろんなスポーツがあれど、野球は縁というか。そしてその巡り合わせが、あんなにも劇的な試合になるんだっていう点で、かなり痺れたんですよ。

――あの試合、済美は前半戦でかなりリードを奪われていて、圧倒的に不利な展開となっていました。7回終了時点で1-7と6点差つけられてしまっていましたね。

高岸:そこから盛り返すんです。なんと8回裏に一挙、8点取って大逆転に成功するんですよ。

前田:確かに劣勢の展開でした。でも、僕らは“もう終わったな”とは思っていなかったです。やっぱり確率論でいったら、あそこからひっくり返すというのは、なかなか難しいかなとは思っていました。

 ただ、これは人からのまた聞きなのですが、中矢監督も「このコたちがこんなに力を発揮するとは思わなかった」と言ってたらしいんです。数字では計れない、その場に立たないと分からないような部分が、この試合にはたくさんあったと思います。

――実は、この試合の星稜の先発投手は2年生の奥川(恭伸)投手でした。1年後の夏の甲子園準優勝投手で、その秋のドラフトで東京ヤクルトスワローズの1位指名で入団した、あの奥川君です。

前田:でも、4回裏の投球時に足を負傷してしまって、5回裏から2番手の投手に交代してしまうんですよ。のちにこれが大きく響くことになるんですね。

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