吉村知事、“うがい薬でコロナ退治”の波紋 一番ひっかかる「疑似陰性問題」

国内 社会 2020年8月12日掲載

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危うい「疑似陰性」

 このうがい薬騒動、一番引っかかるのは「疑似陰性」である。本来、身体は陽性なのに唾液試験では陰性になってしまう危惧だ。吉村知事は「PCR検査を受ける人は基本的に自分が陽性ではないかと心配な人」としていた。それは確かだが、熱が出たとかで周囲から「PCR検査をした方がいい」とか「しろ」と言われた人が、陽性となって会社に行けなくなったら困るため陰性の証明をもらおうとし、検査直前にうがい薬を使って陰性になるようにするケースが出てこないだろうか。そうなればPCR検査の精度低下につながりかねない。 

 5日の記者会見の終了近く、筆者がそれを質問すると吉村知事は「そんな消極的な理由で検査を受ける人はレアケースだと思う。ただ、ひとつ気を付けなくてはならないのは水際です。海外から入ってきた人が、空港の検査では入国が目的なので、陽性になったら困るからとポビドンヨードでウイルスを消そうとする可能性があるかもしれないから、対策が必要」としていた。

「水際」には気づかなかったが、国内でも「陰性証明が欲しい」というのはそんなにレアケースではないのではないだろうか。PCR検査の「陽性宣告」はがんの宣告とは違う。

「調べたら陽性かもしれないけど、ほとんどの人は無症状で終わり陰性に戻るのだから仕事に行けるように陰性としてくれればありがたい」…とりわけ若く体力に自信のある人でそう思う人は少なくないだろう。

 思い出すことがある。小学生の頃、結核予防の「ツベルクリン反応」というのがあった。腕に皮下注射をして後日、1センチ平方ほどに赤く腫れていないとBCGという痛い注射が待っている。これが嫌だから、筆者や同級生たちは指で強くこすったりして赤くしていた。医師がそんなことで騙されていたかどうかはあずかり知らぬが「これでは陰性なのか陽性なのかわからなくなるではないか」と子供ながらに思っていたものだ。

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