防衛白書が「日本は北朝鮮『核ミサイル』の射程内」と断言 情勢不安で“暴発”するリスク

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「軍事的な解決はない」

 留意すべき点は他にもある。最近発射されたミサイルが“液体燃料”から“固体燃料”へと切り替わっていることも見逃せない。

 白書にはこうある。

〈固体燃料推進方式のミサイルは、固形の推進薬が前もって充填されており、液体燃料推進方式に比べ、即時発射が可能〉。そして、〈発射の兆候が事前に察知されにくく、ミサイルの再装填もより迅速に行え、かつ、保管や取扱いも比較的容易である〉。つまり、北朝鮮は燃料を替えることで〈奇襲的な攻撃能力の向上を図っている〉のだ。

 先の伊藤氏が続ける。

「北朝鮮では従来のような固定された発射台でなく、“TEL”と呼ばれる車輛型の移動式発射機が主流になっている。かつては発射台にミサイルを屹立させて、燃料を注入するプロセスが必要だったため、兆候を把握してからイージス艦を沖合に派遣する時間的な猶予がありました。しかし、近年では発射する場所を早期に探知したり、その兆候を掴むことが極めて困難になっているのです」

 白書には〈このような高度化された技術がより射程の長いミサイルに応用されることも懸念される〉との表現も盛り込まれ、まさにわが国が“脅威”と対峙せざるを得ないことを示唆している。

「米科学者連盟(FAS)の報告書『北朝鮮の核能力』によれば、北朝鮮は18年段階で10~20個程度の核弾頭を有していたとされます。また、核ミサイルを発射できるTELも100両近く配備されているという。日米韓に対する報復能力を十分に備えていると考えるべきです」(小泉氏)

 トランプ政権で首席戦略官や大統領上級顧問を務めたスティーブ・バノン氏は、17年のインタビューで〈(軍事作戦が開始されたとして)最初の30分間で1千万人のソウル市民が通常兵器による攻撃の犠牲にならない〉と証明されない限り、軍事的手段を採るべきではないと明言。その上で、北朝鮮問題に〈軍事的な解決はない。忘れるべきだ〉と語っている。

 タカ派の活動家として知られるバノン氏ですら、北朝鮮の“報復能力”の高さを極めて深刻に捉えていることが窺える。

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