今度は銀座ビル売却の「三陽商会」 従来型のアパレルとオーディオメーカーの共通点

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オーディオメーカーと同じ道

 すでに、来年2月までに全店舗の約15%に当たる150店舗を閉鎖すると発表している。

「店舗閉鎖と同時に、大幅な人員削減を行うでしょうね。ただ、これも焼け石に水で、大幅な経営改善にはならないのでは」(同)

 経営失敗の要因はなにか。

「最大の要因は、ブランドマネージメントの失敗です。バーバリーを失った後、英国の老舗ブランドのマッキントッシュを育てることができなかった。他のブランドもテコ入れができなかった。これでは赤字から脱却するのはなかなか難しい」(同)

 さらに追い打ちをかけたのはコロナ禍。アパレル業界は大きく様変わりするという。

「ファストファッションであるユニクロやZARA、H&M、GAPはコロナ後でも生き残れますが、従来型のアパレルメーカーは衰退する一方でしょう。5月のレナウンの倒産が象徴的であったように、アパレルの市場環境が大きく変わってしまったのです。というのは、コロナが過ぎても、人は外に出なくなります。会社に行かず、テレワークです。会議はZOOMで行います。人に会って商談するというのは少なくなるでしょう。そうなると、通勤用のスーツもいらなくなる。ファッション需要は元には戻らないと思います」(同)

 伝統的なアパレルメーカーは、オーディオメーカーと同じ道を辿ると指摘する。

「20年前、オーディオ産業には、赤井電機、山水電気、日本ビクター、パイオニア、マランツ、日本コロムビアなど、高い技術力も持った企業が沢山ありました。ところが、アップルなどの音楽配信ビジネスに負けて、産業ごとクラッシュしました。それと同じことが現在、アパレルで起こっています。大江社長がいくら政策を打ち出しても、再建は難しいでしょう。三陽商会だけでなく、レナウンのような従来型アパレルは軒並み衰退するでしょう。三陽商会は、資本参加している三井物産の傘下にならない限り、単独では生き残れないかもしれません」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年7月28日掲載

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