文政権GDPショック…支持者にゴマすり最賃アップも解雇増、財閥は海外逃避

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輸出の大幅減に危機感が希薄な大統領

 韓国の実質国内総生産(GDP)は、今年の第1四半期(1月から3月)と第2四半期(4月から6月)の2期連続でマイナスになった。中央銀行にあたる韓国銀行が発表した第1四半期のGDPは前期と比べて1・3%のマイナスで、第2四半期も3・3%のマイナスだった。これは、アジア通貨危機に襲われた1998年1-3月期(6・8%減)以来の下げ幅。第2四半期はドル高ウォン安で落ち込んだ前年同期と比べて2・9%のマイナスで、1998年10-12月期(3・8%減)以来の低水準だが……。

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 文在寅大統領は、7月16日の国会開院演説で韓国は他国と比べて善戦したと胸を張った。「世界経済はマイナス成長に陥っているが、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、“韓国の経済成長率は最も良好だ”とOECDや国際通貨基金(IMF)などが見ている」と訴えたのだ。

 洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官も中国の例を引用して楽観的な観測を述べている。中国は新型コロナウイルスが拡大した1-3月期は前期比マイナス9・8%まで落ち込んだが、4-6月期には11・5%増のV字回復を見せた。

 韓国における新型コロナウイルスは今年4月に収束の兆しを見せて、5月に再発したが、その後しばらく小康状態が続いている。副首相は、このまま小康状態が続けば、中国と同様のV字回復を見せるだろうと期待するのだ。

 その一方で、輸出に注目する韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁の考えは政権とは異なっている。3月以降、輸出が落ち込み、第2四半期の輸出は前期比16・6%減の打撃を受けた。これは1974年10-12期(17・9%減)や1963年10~12月期(24%減)以来の落ち込み。7月も二桁のマイナスで5か月連続の大幅なマイナスは避けられない。輸入も前期比7・4%減少した。

 中国の輸出がGDPのなかで占める割合は20%にも満たない。新型コロナウイルスが広がると、中国政府は大規模なロックダウンを行って内需が大幅に落ち込み、ロックダウンが解除された途端に反動が起き、V字回復に繋がった。

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