金正恩、病院視察報道に秘められたウソとホント

国際 韓国・北朝鮮 2020年7月23日掲載

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9枚の写真のみで動画はナシ

 7月20日、北朝鮮の労働新聞などのメディアは一斉に、金正恩が建設中の平壌総合病院を現地視察したと報じた。4月から続く雲隠れ期間中、側近らとしか会っていなかった金正恩が外部現場視察を行ったのは、5月1日の肥料工場竣工式以来、2度目。この報道からわかる北の真意とは? 北で博士号を取得した著名専門家による分析。

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 労働新聞は記事と一緒に9枚の写真をアップしましたが、動画はありません。そこでニュース記事と写真に登場する面々について検証し、北朝鮮が伝えようとするメッセージの核心は何か、なぜこの時期に金正恩が平壌総合病院を視察したニュースを報じたのか、その意図を考えたいと思います。

 平壌総合病院は今年3月に着工。党の創建75周年となる10月10日までの完成が至上命令となっているものの、新型コロナウイルス対策の国境封鎖によって工事に遅れが出ているといわれています。だから今回、金正恩は建設責任者ら幹部を怒鳴りつけたということです。

 それから幹部は工事の遅れを取り戻そうと、地元住民らに労働動員をかけました。これは過去に幾度となくなったもので、普段仕事のある住民らは無報酬で工事に協力しなければなりません。

 私のYouTubeチャンネルでは数日前、平壌総合病院の深刻な建設遅延状況を報じる中で、当局からタダ働きを強要されている北朝鮮住民の悲鳴と嘆きをお伝えしました。平壌総合病院がオープンしたら、その病院で、市民の利益を無視して保身しか考えないヒラメ幹部たちの「既得権益病」から治すべきだという声が上がっています。

 おそらく住民らの声や実態が金正恩の妹で権力を掌握しつつある金与正に報告されたのでしょう。金与正は7月10日、非公開で病院の建設現場を視察しており、今回はその対策を金正恩名義で発表したのではと考えられます。

 日に日に高まる北朝鮮住民、特に平壌市民の不満をそのまま放置しておけば、反発を買う恐れが排除できないということでしょう。

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