山中教授の「コロナで10万人以上亡くなる」発言を検証 専門家「すでにピークアウト」

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自然減の傾向が強い

 中野教授の発言は、自身が考案した「K値」の計算にもとづいている。これは大阪府も感染対策に用いている指標で、直近1週間の新規感染者数を、累積感染者数で割って算出する。これまで先にK値で予測を立て、以降の感染者数を見ると、数字はほぼ予測どおりに推移してきたという。

「K値はスピードメーター。感染拡大率が変化する速度を測ります。ボールを投げたとき最も速いのは投げた瞬間で、その先は頂点に向かって上がっている最中でも、勢いはどんどん落ちる。その勢いの落ち方は一定です。新型コロナの感染者数も、同様に感染拡大率が一定の勢いで落ちると仮定すると、感染拡大期の最初の8日間ぐらいを見れば、その後の数が予測できます」

 そう説明する中野教授は、各国の感染状況をK値で予測してきた。その結果、「仮定」は「観測事実」になったと胸を張るが、その目にいまの感染状況はどう映るのだろうか。

「私は中国由来の流行を第1波、欧米由来を第2波と分けており、いまは第3波ですが、前の二つをまとめて第1波とするなら、第2波、または小流行と呼んでもいい。そのスタートは6月22日ごろ、推定感染日だと6月8日ごろで、第1波のくすぶりではなく新たな流行です。東京の新宿のあとを追うように、同時期に全国で感染者が急増しているので、発生源は新宿の可能性が高い。潜伏していたものが表に出てきたのなら同期しません」

 しかし、勢いは落ちる。

「新型コロナの感染者数は、日本をはじめアジア諸国では自然減の傾向が非常に強い。世界中を見渡しても指数関数的に増え続ける国はありません。また日本における感染拡大率の落ち方は、どの地域も同じです。累計感染者数の推移を対数グラフにすると、高さは違っても、形は都市部でも地方でも同じなのです」

 もっとも、東京都の今後の感染者数だけは予測しにくいというのである。

「K値は感染者数をもとに計算するので、検査態勢が大幅に変わると影響を受ける。夜の街への集団検査が混ざると、感染者数の波をとらえるのが難しくなる」

7月9日前後にピークアウト

 そこで集団検査が行われていない大都市圏の8府県、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡について、K値を使って新規感染者数の推移を予測してみた。すると先述のように、7月9日前後が山の頂になり、ピークアウトしている、という結果が導き出されたわけだ(表参照)。

 そして、東京についてもこう結論づける。

「人口が多く、集団検査を行っていない板橋、練馬、豊島、世田谷、渋谷、大田、港の各区の総計で7月初めまでの累計感染者数の推移を見ると、先の8府県とほぼ同じになります。新宿区からの絶え間ない感染者の流入はあっても無視できる程度で、8府県と同様、7月9日前後にピークを迎えた可能性が高いです」

 また、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、

「これから高齢者に広まったら危ない、と言われていますが、6月中旬から感染者が増え、すでに1カ月以上経っています。前回の第1波のように死亡者数が増えるなら、重症患者も増えているはずですが、それが増えておらず、感染者は依然、若者中心です」

 と説く。今回は医療の逼迫状況に至らないという読みで、そうであれば「緊急事態宣言を出すべきだ」といった発言は、いかに的外れであることだろうか。

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