巨人の二代目若大将「岡本和真」の重大問題 「鼻毛を抜くと風邪を引く」はホントか?

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イスタンブールに文献があった

 本当にそんなことがあるのだろうか。そこで、鼻毛カッター(鼻毛トリマー)を製造販売するフィリップスに聞いてみた。

フィリップス:弊社としては、身だしなみの観点から鼻毛トリマー等の商品を発売しております。ご存知のように、鼻毛は“フィルター”としての役割を果たしており、ほこりの侵入を防いだりしています。ですから、鼻毛のお手入れは大切ですが、鼻毛の全くないツルツルの状態にしてしまうと、その役割が果たせなくなります。

――風邪は引きやすくなるのだろうか?

フィリップス:申し訳ありません。医学的な観点からはお答えしかねます。

 ならば医師に聞くしかない。かつて、広島県医師会の会報に「かぜと鼻毛」と題したコラムを書いた、小園内科・循環器科(広島県三原市)の小園亮次院長に聞いてみた。

――なぜ「かぜと鼻毛」というコラムをお書きになったのか。

小園:実際、「鼻毛切ったんで、風邪引きましたわ」なんて言う患者さんもいらっしゃるんです。それで本当に鼻毛と風邪に因果関係があるのかと思って調べてみました。すると、イスタンブールにあるHacettepe大学医学部がまとめた文献を発見しました。外来の鼻炎患者233人を対象に、鼻毛が多い、普通、少ないの3群に分け、喘息の有無を比較したものでした。それによると、喘息の罹患率は、“鼻毛多”群が16・7%、“鼻毛中”群は26・2%、“鼻毛少”群は44・7%。つまり鼻毛が多い人は、少ない人の3倍も喘息になりにくかった。鼻毛のフィルターの役割は大きいことが裏付けられています」

――なるほど。しかし、元々、鼻毛が多い人と少ない人の比較ではなく、鼻毛を抜くと風邪を引きやすくなるのか、という点についてはどうか。

小園:残念ながら、そういった研究はされたことがありあません。検証すると面白いテーマだと思うんですけどね。鼻の内部を簡単に説明すると、鼻腔の内側は粘膜で覆われており、その表面はごく短い線毛がびっしり生えています。鼻の穴からホコリや細菌など異物が入ると、まず鼻毛がフィルターの役目をするわけです。鼻毛自体にも、蝿取り紙のようにくっつきます。それ以外は粘膜がキャッチし、繊毛運動によって喉の奥のほうへと押しやられ、咳や痰、くしゃみなどによって外へと追い出すのです。飲み込んで胃で消化されることもあります。

――では、鼻毛がなくても異物はキャッチできるということか。

小園:そういうことになります。ただし、特に鼻の粘膜には、IgAという分泌型抗体があり、この抗体により粘膜自体に防御する役割があるのではないかとも考えられています。鼻毛がなくなると、異物はダイレクトにIgAに当たることになり、抗体の負担が増えるかもしれません。また、鼻毛を抜くことにより毛根が炎症を起こすことも考えられます。

――やはり鼻毛を抜くのは良くない?

小園:そうですね。身だしなみとしてなら、飛び出している部分をカットする程度で良いと思います。

――ちなみに先生は、鼻毛を抜くとどうなりますか?

小園:私ですか、抜くとなんだか喉が痛くなるんですよ。

 医師ですら体調を崩すのである。岡本、鼻毛は抜くな! ただし、見苦しくない程度にカットしましょう。

週刊新潮WEB取材班

2020年7月20日掲載

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