韓国女史のWTO事務局長誕生なら…“日本海”は“東海”になるという悪夢の再来

国際 韓国・北朝鮮

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 世界貿易機関(WTO)の事務局長選挙に立候補した韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長(53)。スイス・ジュネーブのWTO本部で所信表明演説を行なった後の記者会見で、日本と中国の支持を期待する発言を展開した。日韓が政治経済ともに緊張関係にある中で卓越した“鈍感力”を発揮した格好だが、彼女は一体何者か。そして、彼女が権力の階段を登りつめたとき、何が起こるのか。

 氏は会見で「韓国と日本は多国間貿易体制の恩恵を受けており、これを維持・強化する必要がある」とし、また「事務局長候補の中で誰がWTOを改革する適任者なのか、(日本は)その能力と資質を見ると判断する」と述べた。また中国についても、「多国間貿易の重要性を理解している国」だと持ち上げ、「その中国と韓国は良い業務協力を結んできた」と自賛している。

 WTO事務局長は、加盟国協議で支持率が最も低い候補者を脱落させる過程を繰り返しながら候補者を絞り込み、全会一致で選出される。影響力のある国が頑なに拒否する候補者が事務局長に選出される可能性は少ない。兪氏はまずは日本に、そして中国に同氏を拒絶しないよう牽制したということになる。

 兪明希氏はソウル大学を卒業後、外交部の多者通商協力課事務官、通商交渉本部の自由貿易協定サービス投資課長、駐中韓国大使館一等書記官、アジア太平洋経済協力会議(APEC)派遣参事官などを歴任し、2014年、青瓦台(大統領府)で海外メディアを担当する広報首席室の外信報道官に抜擢された。女性初のことだ。

 翌15年からは、日中韓3か国の自由貿易協定(FTA)締結に向けた実務者交渉会議やアジア太平洋地域の16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の韓国代表を務めた。通商一筋25年のキャリア官僚である。

 韓国政府は、2021年6月に任期を迎える経済協力開発機構(OECD)事務総長に康京和(カン・ギョンファ)外交部長官を出馬させようと考えたが、康長官が断ったため、兪本部長をWTO事務局選に出馬させ、康長官を筆頭に、外交部を上げて兪氏を支援することになった。

 文在寅大統領は2019年2月、北朝鮮との関係や外交安保政策の実務を総括する国家安保室第2次長のポストに、金鉉宗(キム・ヒョンジョン)産業通商資源部通商交渉本部長を就けた。そして当時、通商交渉室長だった兪明希氏(当時51)が現職に昇進したわけだ。

 通商交渉本部長に就任してからというもの、兪明希氏は日本に真っ向から対決する発言を次々と繰り出してきた。

「日本の輸出規制に対する今回の提訴も徹底的に立ち向かって勝訴する」と豪語

 日本政府は、福島など8県の水産物に対する韓国の禁輸措置を科学的根拠がないとして、WTOに提訴。2019年4月、WTOの紛争処理の最終審に当たる上級委員会が日本敗訴の決定を下すと日本は受け入れを拒否したが、兪氏は同年5月にフランス・パリで開かれた経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会で、日本の受け入れ拒否を非難する発言を行っている。

 同年7月、日本政府が韓国をホワイト国(輸出優遇国)から除外する件についてパブリックコメントを募集すると、米政府や議会に仲裁を依頼するため渡米し、日本の措置を批判する発言を繰り返した。

 9月11日に韓国政府が日本の輸出管理強化をWTOに提訴すると、兪明希通商交渉本部長は、「日本との世界貿易機関(WTO)紛争で韓国は百戦百勝した、日本の輸出規制に対する今回の提訴も徹底的に立ち向かって勝訴する」と豪語するなど、日本に真っ向対決を挑んだが……。

 韓国政府は日本によるホワイト国除外への嫌がらせとして、日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を持ち出した。軍事情報の共有を主たる目的とするGSOMIA破棄は、極東の安全保障を根底から覆しかねない由々しきこと。匕首を突きつけた割にはあっさりと破棄の凍結を言い出し、またWTOへの提訴取り下げを通告した。

 その直後にソウルジャパンクラブ(SJC)招請懇談会に出席した兪氏は「素材・部品、新産業、高級消費財など韓国の産業全般の競争力強化に寄与する投資の持続的な拡大を期待する」と発言し、日本企業に韓国への投資拡大を呼びかけている。舌は一体何枚あるのだろう。

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