新型コロナはピークアウトしている? ウイルス学権威が説く「必要な予防策はこれだけ」

国内 社会 週刊新潮 2020年7月16日号掲載

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 東京都の新型コロナ新規感染者数が100人を超える日が続き、7月10日には過去最高の243人の感染が発表された。ワイドショーは「第2波」を煽り立てるが、大阪大学核物理研究センター長で、大阪府が感染対策に導入した「K値」の考案者である中野貴志教授の見方はこれと異なる。

 K値は直近の感染者数を累積感染者数で割り、感染拡大率の減速を示す指標である。ただし、

「感染者数をもとにした数字なので、検査の基準や態勢が大幅に変わると感染者数の波を捉えにくくなる」

 という。そこで、

「集団検査が行われていない神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡の8府県について、新規感染者数の推移をK値モデルで計算したところ、7月9日ごろにピークアウトする。いつ感染したかで考えると、2週間前の6月25日ごろにピークアウトしていたことになります」

 つまり、「第2波パニック」はミスリードの疑い濃厚である。むろん、今後も気をつける必要はあるが、「新しい生活様式」なんて言われても、食事中も会話をしないなど非現実的な内容で、その根拠もわかりにくく、守られていない。むしろ、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝雄准教授が、

「どんちゃん騒ぎをする、グラスの回し飲みなど唾液の交換がある」

 と説く、ホストクラブで感染しやすい理由のなかにこそ、ヒントが見つかりそうだ。つまるところ感染防止に必要なのは、

「目、鼻、口を触るな、マスクを着用しろ、手を洗え。つまり、咳やくしゃみなどによる飛沫を浴びない、浴びさせない、飛沫が飛び散った場所を触らない、触ったら手を洗う。これに尽きます。マスクをしていない場合は小声で下を向いて話すなど、できるだけ飛沫が飛ばないように気をつけて飲み食いすればいい。新型コロナウイルスは発症して7日ほどで人にうつらなくなり、発症後10日で唾液中のウイルス量は約100分の1になる。つまり、ウイルス量を100分の1にすればほぼ感染しないということで、そのための対策がマスクと手洗いです」

 非常にシンプルで、マスクをしていればソーシャルディスタンスも要らない。結果、こうも言える。

「外出が悪いのでなく、外出先でなにをしたかが問題。ビジネス出張で夜の街にも寄らず帰ってくる場合、感染させたりしたりする可能性は非常に低いです」

 小池百合子都知事(68)の「都民のみなさまには不要不急の他県への移動は控えていただきたい」という呼びかけがいかに的を外しているか、である。もっとも、こうしたシンプルな呼びかけが届かない人たちもいる。東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授は、

「すでに警戒している人はそれで十分ですが、意識が低い人にいかに警告するかが大事です」

 と危惧し、こう語る。

「向かいにいる人がマスクをしていなくて、自分もマスクをしていないまま話が弾んだような状況は、飛沫が飛び交う心配がありますから、そのままでは危険だと判断する。あるいは、いろんな人が触る電車のつり革などから、ウイルスが口や鼻に行ったら危ないから、電車を降りたらすぐに石鹸やアルコールで手を洗おうと考える。そうやって個人個人が、自分の置かれている状況はいま安全か、危険かを判断できるのが一番大事だと思います」

 そのための判断基準は、すでに述べたようにきわめてシンプル。安倍総理や小池知事が日々発信しなければならないのは、このことであるはずだ。

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