お~いお茶やクラフトボスも次々“ゼロ”に ただ今「カフェインレス」飲料が増加中

ビジネス

  • ブックマーク

Advertisement

ノンカフェインのファッション性

 清涼飲料水評論家の清水りょうこ氏は、次のように話す。

「もともと妊婦さんたちはカフェインを避け、麦茶やルイボスティーを飲んでいました。そういう意味で、ノンカフェインは昔から一定数の需要があり続けるジャンルだったわけです。大手から商品化された先駆けでは、キリンの『午後の紅茶』のデカフェがかなり早かったのではないでしょうか(※『ストレートティー デカフェ』は17年8月より発売中)。ただこの商品は、普通のスーパーマーケットやコンビニエンスストアではあまり見かけず、『ナチュラルローソン』といった健康志向のお店に置かれていました。今のようにカフェインレス飲料の商品が増え棚に並ぶようになったのは、やはりここ1~2年のことだと思いますよ」

 清水氏によると、エナジードリンクのメインユーザーは、やはり学生やサラリーマンの男性。とはいえ、女性でもエナジーを飲む人は少なくない。“フルーティー味”など女性向け商品が発売されてはいるが、

「こうした商品で新たな女性ユーザーの獲得を目指しているのだと思いますが、なかなか難しいのではないでしょうか。エナジードリンクを飲む女性は、“女性向け”でなくても、“普通の”エナジードリンクを飲んでいるのでは」

 コーヒーを飲む人に男女差がないのと同じということだろうか。一方、ノンカフェイン飲料に関しては、男性よりも女性の需要が高いと清水氏は分析する。

「もちろん、普通のコーヒーとの飲み分けという、男女を問わない需要はあるとは思います。そのうえで、たとえば小麦を含まない『グルテンフリー』の食志向が女性たちの間で流行ったように、ある種のファッション性が『ノンカフェイン』にも見て取れます。私は物珍しさも手伝って『ノンカフェイン』を選んでいますが。そんなカフェインレス需要に、各社が改めて気づき、商品を次々打ち出しているのが、いまの状況でしょう。あとは、各社とも既存ブランドの“カフェインレス仕様”の形で、新商品を投入しています。普通の商品とカフェインレス商品の希望小売価格は一緒でも、スーパーなどの店頭に並んだ時、カフェインレスという付加価値がある分、後者は前者よりディスカウントしにくくなる。そんな販売戦略も、もしかしたらあるかもしれませんね。いずれにせよ、選択肢が広がることで、午前中はカフェインあり、午後からはカフェインレスといった、シーンに合わせて飲み分けができるようになりそうですよね」

 エナジードリンクやコーヒーの摂取し過ぎでカフェイン中毒に陥る人も少なくないという。新たな選択肢としてカフェインレスは定着するか。

週刊新潮WEB取材班

2020年7月15日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。